非常事態宣言発令2週間すぎたが5月6日の解除のめど立たず

4月7日に改正新型インフル等特別措置法に基づいて非常事態宣言が発令され7都府県から適用、16日夜に全国に適用範囲が拡大された。朝日デジタル2020年4月21日21時56分に掲載された記事によると、「累計の感染者数は7都府県とも増え続けているが、福岡は約3日で約2倍に急増していたのがここ1週間は勢いが収まり、倍増する期間は7日より長い。福岡を除く6都府県は宣言前後は約1週間で倍増していたが、最近1週間ほどはわずかに勢いが緩やかになってきている。ただ増加が鈍っても、感染拡大が収束するまでの期間を見通すのは難しい」状況だ。5月6日に予定されている解除発令の可能性はない。4月26日の望月義夫元環境相の死去に伴う衆院静岡4区補欠選挙が注目されるが、「コロナ隠し」が行われている可能性もある。

朝日デジタルによると、「朝日新聞が厚生労働省の公表データをもとに計算したところ、宣言前の7日までの1週間では、東京は累計感染者数が2倍になるのに約6日かかるペースだったが、21日までの1週間は約11日だった。福岡は7日までの1週間は約3日で2倍だったが、直近1週間は約12日に。大阪や神奈川でも同様の傾向だ」とある。朝日デジタルは、政府=安倍政権の自宅待機・外出自粛要請の効果が出つつある可能性はあるとの見方も示している。

ただし、「沖縄県立中部病院感染症内科の高山義浩副部長は「外出自粛の成果はこれから明らかになる。クラスター(感染者集団)対策と、自主的な感染対策という日本の手法が有効だったのか、続ければいいのかが見えてくる。新型コロナウイルス自体はすぐには地球上からなくならないことを前提に、どう付き合っていくかを考えていく必要がある」と語る」との談話も掲載している。

これらの統計は厚生労働省発表の「公式統計」によるものだ。厚労省の統計には、PCR検査抑制の方針が貫かれており、新型コロナ感染者の実態は掴めていない。16日夜放送のTBS系番組「NEWS23」 では、世界保健機関(WHO)事務局長上級顧問の渋谷健司英国キングスカレッジ・ロンドン教授がインターネット経由で登場し、「日本はクラスター(感染者の集団の追跡)対策をメインにしていたので検査数を絞っていた。非常に検査数が少ないので表れている数字は氷山の一角に過ぎない」「おそらく(感染者が)10倍以上はいる」と強調。また、「肺炎で亡くなった方でも診断がついていないケース」などをあげ、公表されている死者数に反映されていない死者がいる可能性を指摘した。後に引用するが、路上などでの不審死を遂げた死亡者を検査してみたら、PCR検査で陽性だったとの報道もある。

渋谷氏は、検査数が伸びない背景には保健所を経由し、承認を得ないと検査ができない体制にあるとして、「保健所はパンクしている。負担を和らげるためにも医療機関から直接検査を発注できることが大事だ」としたうえで、現状では「人と人の接触8割減は困難だ」として、「家にいるというインセンティブ(動機づけ)が足りない。休業補償も含めた、お店に対して休んでもいいよというような施策を出すべきだ」と述べた。政府による継続的な国民に対する生活支援、休業支援を要請したものだ。

実際、AFP通信によると、グリニッジ標準時20204月21日午前5時59分(日本時間4月22日午後2時59分)の段階で世界全体で243万7173人の人々が感染確認者であり、このうち16万7594人が死亡している。致死率6.9%とかなり高い。

日本時間4月22日午後2時59分段階の世界の新型コロナウイルス感染者と死亡者数

これに対して、朝日デジタルの集計によると、日本での感染者と死亡者数は次のようになっている。

豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号を含めた感染確認者数は1万2262人、死亡者283人で、死亡率は2.3%。日本の医療技術の高さ、対症療法医療技術の高さからしても、世界全体の6.9%からすると相当な低さである。

東洋経済オンラインで日本のPCR検査の状況を見てみると、3月4日から4月21日までの49日間で検査人数は10万1818人。1日当たり2078件とオリンピック開催延期が決まった3月下旬以降、やや増えているものの他の先進諸国(韓国は1日2万件程度)よりも圧倒的に少ない。

PCR検査が少なければ当然、感染確認者数も少なくなる。上記に述べたことだが、これに対して日本のコロナウイルス死者数が少ないことから、実際の感染者数が多いとの指摘を批判する声もある。これは、➀死亡率が世界全体の死亡率に比べて圧倒的に低い②新型コロナウイルスが各種の対症療法として投与される薬に対して耐性をつけ、より凶悪なものに変異しているとの指摘が有力である③日本国内で肺炎死者が多数存在しており、この中にコロナウイルスによる死者が含まれていると指摘されている-ことから、実際の感染者数はもっと多いとの批判に対するまともな反論にはならない。

例えば、テレビ朝日の報道によると、「路上で倒れていた男性が死亡した後、新型コロナウイルスの感染が確認されました。警視庁によりますと、9日午前4時半ごろ、東京・足立区の路上で60代の男性が倒れているのが見つかり、その後に搬送先の病院で死亡しました。死亡後にPCR検査を実施したところ、新型コロナウイルスに感染していたことが分かったということです。警視庁はこの男性と接触した警察官らを自宅待機としました。警察庁によりますと、警察が取り扱った遺体で感染が確認されたのは警視庁の6件を含み、神奈川県、埼玉県、兵庫県、三重県の合わせて11件です」。この記事は氷山の一角で、こうした死亡後にPCR検査で陽性だと判定された死亡者は多数に上ると考えられる。

新型コロナウイルスは、ワクチン開発が容易ではないため、開発には1年を超える相当の期間を要する。このため、WHOの主張するように現段階では、➀東京都を中心に進行しつつある院内感染による医療崩壊を阻止するための政府の徹底的な財政支援による防疫耐性の確立②PCR検査を主体に補助検査としての抗体検査を併用した検査と陽性患者の症状に応じた医療施設への隔離③自宅待機と休業による人と人との接触の8割以上の削減④人-モノ-人感染の防止③自宅待機・休業要請に対する政府の継続的な補償-を新型コロナウイルス感染症対策の基本に抜本転換しなければならない。

ただし、改正新型インフル特措法の政府対策本部責任者に西村康稔 経済再生担当全世代型社会保障改革担当内閣府特命担大臣(経済財政政策)を起用したことには重大な疑問が残る。国民の生命と財産(生活補償も当然含まれる)を守ってこそ、経済社会の再建も可能なはずだ。本来は、安倍晋三首相が名実ともの責任者にならなければならない。また、第一次補正予算案は早急に成立させても、全く不十分だから、第二、第三の矢は当然必要になる。だから、検察庁の定年延長法案や年金制度改革法案など時間をかけて審議しなければならない重要法案は、火事場泥棒をするように、今通常国会で審議・成立させてはならない。

毎日新聞より

望月義夫元環境相の死去に伴う衆院静岡4区補欠選挙が4月26日にあるが、弔い選挙でもあり、いつものように自民党の前静岡県議・深沢陽一氏が先行との報道が流されているが、政府系の読売新聞社のサイトによると、同社の「新型コロナウイルスを巡る政府のこれまでの対応については『評価しない』が52%で、「評価する」の39%を上回った」となっている。ただし、投票率が低くなることは懸念されるが、補選の最大の眼目はコロナ対策であるはずだから、首をかしげざるを得ない。

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