「桜を見る会前夜祭」事案、安倍前首相の記者会見も疑問ー公設第1秘書の証人喚問も必要(訂正)

昨年春にホテルニューオータニで開かれた「桜を見る会前夜祭」は、東京地検特捜部が12月21日、安倍前首相に対して任意聴取を行った上で、安倍氏の公設秘書が略式起訴され、公判が開かれることもなく、「罰金刑」で法的には決着する様相を見せている。これについて安倍氏は24日、記者会見を行い、「公設第一秘書に騙され続けた」と責任転嫁している。しかし、安倍氏の記者会見にも問題が多い。安倍前首相に対しては本日25日、衆参の議員運営会で公開の参考人招致が行われるが、安倍氏の記者会見の矛盾点を追及するとともに、公設第一秘書も国会で証人喚問すべきだ。本日の参考人招致で終わらせてはならない。

12月25日金曜日コロナ感染状況

本日12月25日金曜日の新型コロナ感染状況は、東京都は新規感染確認者は1週間前の12月18日金曜日の664人より220人多い前週と884人の比較では11日連続の過去最多の884人、東京都基準の重症者は前日比8人増加の81人(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)。新規感染者が1週間前との増加幅が置きくなる傾向が続いている。
東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は681.0人、PCR検査人数は7894.4.人だから、瞬間陽性率は8.63%。東京都独自の計算方式でも7.9%。感染者のうち感染経路不明率は61.66%だった。ステージ3/4の陽性率は10%。いずれの「公式公表値」も悪化傾向が続いている。推定瞬間陽性率は8%超えており、感染経路不明率は60%に届こうとしていいる。
全国では、午後23時59分時点で新規感染者数は3831人、死亡者は63人にが確認され、いずれも過去最多を更新。今後、さらに増加する公算が大きい。重症者は644人。ただし、再重唱し、または重症化が見込まれる感染症患者は含まれておらず、実態としては病床数は相当程度、逼迫している。菅首相は改正インフル特措法に営業時間短縮と休業補償、罰則規定を盛り込んだ同法の改正を目指す意向を示した。国庫負担で素早く、十分な補償が打ち出されるかが焦点になる。英国からの帰国者5人から英国で変異した感染力が7割程度強い英国型ウイルスが確認されたhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20201225/k10012785161000.html)。コロナ禍対策の抜本転換が必要だ。
【参考】東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、12月24日時点の実効再生産数は全国が前日比0.01人増のと変わらず1.05人、東京都は前日比0.04人減の1.10人となっている。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移

朝日新聞社がWebサイトの朝日デジタル(https://digital.asahi.com/articles/ASNDS7T2GNDSUTFK00M.html?iref=comtop_7_01)で本日25日午前5時に「桜夕食会の穴埋め『手持ち資金』とは 安倍前首相の説明」と題して公開しているから、記者会見を引用させて頂き、サイト管理者(筆者)の所見を述べたい。

25日の衆院議員運営員会で追及にしどろもどろに答弁する安倍晋三前首相
25日の衆院議員運営員会で追及にしどろもどろに答弁する安倍晋三前首相

会計責任者である私の公設第1秘書が、政治資金収支報告書不記載の事実により略式起訴され、罰金を命ぜられたとの報告を受けた。こうした会計処理については、私が知らない中で行われていたとはいえ、道義的責任を痛感している。深く、深く反省するとともに国民に心からおわび申し上げる。(中略)食会については、国会において幾度も答弁した。政治資金規正法に触れるようなことはないという認識だ、との趣旨の説明を繰り返し行った。結果として、これらの答弁の中には事実に反するものがあった。

ただし、前夜祭で後援者の参加費用の補填を行った事実は認めている(公職選挙法違反に該当)が、政治家としての責任は取らず、議員辞職はしないことを明言している。「議員辞職を行わず、真摯に政治家としての活動を行うことで、責任を果たしたい」と言うのが、政治屋の決まり文句だ。

記者会見する安倍晋三前首相
記者会見する安倍晋三前首相

――夕食会の費用補塡の原資は。

私の預金からおろしたものを、例えば食費、会合費、交通費、宿泊費。妻を含めて私的なものの請求書が事務所に来て、事務所で支払いを行う。手持ち資金として、私が事務所に預けているものの中から支出をした。

――補塡の事実を知ったのはいつか。首相の辞任にこの件は影響したのか。

11月23日に報道がされて、私は(秘書に)問いただしたわけで、それまでは(参加者が払った会費1人当たり)5千円ですべてを賄ったものと認識していた。(補塡を)政治資金収支報告書に載せればよかったものであれば、当然載せていたものだろうと認識していた。それがないので、5千円で賄っていたと認識していた。総理としてほぼ8年間在職しているなかで、私の事務所にいったのは1回か2回。責任者に任せている。(辞任の時点では)当然知らないわけだから、まったく(辞任判断とは)関わりがないということになる。

まずは、補填の原資が安倍氏個人の預貯金であったか、確認が必要だ。また、補填が公職選挙法違反(買収行為)に該当するか否かだが、補填(寄付金)を受ける側にも補填であるという(寄付行為)の認識が必要だということになっているが、後援会会員である参加者の中には、「補填(寄付行為)」だったと認識しているものが少なくない。東京の一流ホテルの立食パーティーが5000円では足りないことであることは、インターネットを使えば簡単に分かることだ。この発言自体も、公設第一秘書の「虚偽答弁」を強調し、国費の私物化、国会での虚偽答弁をすべて公設第一秘書になすりつける発言であり、有権者である国民には、冷酷・非情かつ責任逃れの発言と思えるだろう。

安倍氏は、公設第一秘書が安倍氏の「預貯金」を流用していると発言しているが、安倍氏が最も信頼を置いているはずの公設「第一」秘書が同氏提供の預貯金を使った前夜祭経費の補填の事実を同氏に全く知らせず、数年間にわたって政治資金規正法違反(公設第一秘書は違反であることを自覚していた)の政治資金収支報告についての虚偽記載の事実(少なくとも、記載の問題点)について全く相談しなかったということは、極めて不自然である。有権者の国民の誰もが納得することはできない。

ガードマンに取り囲まれる安倍晋三前首相

――ホテル側からの明細書などの発行はなかったという答弁をしているが、その真偽は。

私の事務所に確かめたところ、その明細書は残っていないということだった。事務所の者は請求書を見て、それで支払いを行ったという認識だった。

――明細書の有無はホテルに確認しなかったのか。

明細書はホテルにあるけれども、営業の秘密があるから出せないということだった。

安倍後援会事務所の代表兼会計責任者が、複数ある安倍前首相の政治団体の「晋和会」宛の請求書・請求明細書を同会から回ってきた(取り寄せた)たため、ホテルニューオータニ側に前夜祭の経費を納金したと考えられるが、会計責任者を含む安倍後援会事務所が双方を保管していなかったというのも醜態であり、有権者である国民にとっては信じがたいことだ。野党側は「ホテルニューオータニ」に対して請求書・明細書・領収書の照会を繰り返し求めてきたが、安倍氏は「営業の秘密の保護」「個人情報の保護」を大義名分に、首相在任中はこれを怠った。

そのうえで、前夜祭への参加はホテルニューオータニと後援会会員の個別の関係であと強弁し続け、参加費の領収書は安倍後援会事務所が媒介してホテルニューオータニが参加者一人ひとりに渡してきたという現実的に有り得ない「説明」を繰り返してきた。しかし、そのような常識外れの領収書は一枚も見つかっていない。その場合も、安倍夫妻側なら領収書を保有しているはずだが、安倍氏は前夜祭では飲食していないと虚偽答弁を行った。

しかし、前夜祭開始時には乾杯の音頭がなされるはずであり、安倍氏側が前夜祭で飲食していることは、有権者の国民なら誰でも「飲食していない」という答弁に疑問を抱くはずだ。それでも、虚偽答弁を繰り返してきたわけだから、高所得層に分類される安倍氏側は、有り考えられない「無銭飲食」を行ったことになる。今回の記者会見でも普通では考えられない「営業の秘密」を盾に、ホテルへの確認を行ったことの怠慢を隠す虚偽会見を行ったことが濃厚である。ホテルニューオータニ側が、当事者から請求書と請求明細書を求められて開示しないというのでは、どう考えても「営業の秘密」を守るメリットよりも、「ホテル側の信頼性」を損なうデメリットの方がはるかに上回ると考えられる。


記者会見の要旨はこの程度だが、衆参の議員運営会では25日の記者会見の矛盾も含めて、徹底的に追及していかなければならない。また、首相在任中の政治家としての安倍氏に最も忠実なはずの公設第一秘書が、真実を覆い隠してきたなどとは、有権者の国民には納得し難いことである。安倍氏の発言との整合性を明確にするため公設第一秘書も証人喚問すべきだ。

安倍氏が刑事的、政治的、道義的責任の全てを公設第一秘書になすりつけたのは、刑法上も政治的・道義的にも有権者の国民の理解を得られることではない。この点について、敏腕検事であった郷原信郎弁護士は「安倍氏公設秘書は、虚偽説明をして首相に『虚偽答弁』をさせた大罪を追うのか」(https://blogos.com/article/505778/)次のように指摘している。次の記事も参考にして頂きたい。

安倍氏に対して、黙秘権を告知した上で、その嫌疑について問い質すという本来の意味の「被疑者としての取調べ」が行われたのかどうか、この点は、検察への国民の信頼に関わる問題であるだけに、マスコミ各社は、検察当局からの十分な確認を行う必要がある(なお、公設第一秘書は24日、簡易裁判所から罰金100万円の納付を命ぜられ、即日納付した。有権者の国民に裁判所と検察庁に不信抱かせる措置だ)。

安倍氏が、国会で数限りなく吐き続けてきた「虚言」は、誰が考えてもウソだとわかる、子供じみたものだ。被疑者の取調べにおいて、安倍氏が、「費用の補填は知らなかった」などと弁解をしても、その不合理性、矛盾点を衝く「追及」を行って、「嘘」であることを認めさせることは、まともな特捜検事であれば、「いともたやすいこと」のように思える。(中略)前首相だから、不合理な弁解に対しても、最初から追及すらしないという「大甘な」取扱いをしたとすれば、国民は到底納得しないであろう。(中略)

もし、そうだとすれば、毎年、「桜を見る会」の前夜祭で費用を補填していたのに、政治資金収支報告書に記載しないという「犯罪」を独断で行っていた秘書が、それについて安倍氏から説明を求められ、自己の犯罪発覚を免れるために虚偽説明をし、総理大臣に国会で数えきれない程の回数の虚偽答弁をさせたことになる。国会議員の公設秘書としてあるまじき行いをした大悪人であり、「憲政史上、最低・最悪の公設秘書」だったことになる。

そうであれば、その秘書を、国会で証人喚問、最低でも、参考人招致をして、なぜ、そのような、総理大臣に虚偽答弁させるという、秘書にあるまじき行為に及んだのかを説明させるのが当然だ

取りあえずは、本日の衆参議院運営会で徹底的に安倍氏を追及し、併せて公設第一秘書の証人喚問を行う必要がある。国会は国勢調査権を有している。本来なら、検察庁を上回る「取り調べ」を行わなければならない。なお、検察審査会を開き、安倍氏に対する「基礎相当」の議決を行うべきだ。



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