2020年/令和2年は激動の年に

2020年、令和2年は会社法違反などの容疑で逮捕・起訴されたが、東京地裁の決定で保釈中のカルロス・ゴーン前日産会長のレバノン逃亡が明らかになるという衝撃的なニュースで幕開けた。激動の年になることを覚悟しなければならない。

謹んで新春のお慶びを申し上げます。本サイトを閲覧いただいている皆様はもちろん日本国民の皆様におかれましては、旧年以上にご多幸の年になるよう祈っております。更新頻度が少く申し訳ない次第ではございますが、旧年以上に新規投稿記事を増やす所存でございますので、ご高覧賜りますよう宜しくお願いいたします。

さて、ゴーン前会長のレバノン逃亡は、起訴された容疑者の保釈は証拠隠滅、逃亡の恐れのない時など裁判に支障が出ない場合に限定されているから、我が国の司法制度、行政においても法務省始め政府の重大な失策であることは言うまでもない。日本国憲法では国民主権が根幹になっていることを考慮すれば、国権の最高機関は行政でも司法でもなく国会であるから、国会で徹底的に追及すべきことは当然である。

なお、安倍晋三首相を頂点とする安倍政権の失政は明らかだが、「上級国民」が犯罪を犯しても逮捕・起訴せず、犯罪を示す明白な証拠を証拠採用しないばかりか、米国、安倍政権に都合の悪い人物は無実であっても有罪としてきた警察・検察・司法の腐敗堕落は度を越している。ゴーン容疑者逃亡事件をきっかけに、国会で警察・検察・司法の腐敗堕落について、国会議員の革新派は徹底追求すべきである。

昨年12月25日、自民党に離党届を出して逮捕された秋元司衆院議員

さて、その検察だがカジノ中心の統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職事件で東京地検特捜部が自民党の秋元司衆議院議員を逮捕したほか、元旦付の朝日新聞によると同捜査部ほかに4人の自民党所属現職国会議員、1人の日本維新の会所属国会議員を捜査しているという。これは、贈賄側の企業が中国企業(「500ドットコム・本社所在地は中国広東省深圳市)」)であることと無関係ではないと思われる。東京地検特捜部の前進は、1947年に旧日本軍と政財界の間で発生した隠匿物資事件を契機にGHQ(実際は米国の対日占領政策推進組織)主導で設立された「隠匿退蔵物資事件捜査部」で、1949年に東京地検特捜部に改組されたからだ。

米中貿易戦争に見られる米中覇権争いの一環と見られる。もっとも、離党届を出した(自民党は受理しており除名処分ではない)とは言え、秋元衆院議員は2016年9月、衆議院内閣委員長に就任。同年12月2日、「統合型リゾート(IR)整備推進法案」(カジノ法)の採決を強行して可決させた。そして、2017年8月、第3次安倍第3次改造内閣で国土交通副大臣(観光立国の推進、航空行政、道路、港湾など担当)兼内閣府副大臣(IR担当)兼復興副大臣(地震、津波災害からの復興に関する事項の担当[)に任命された経歴の持ち主である。

安倍首相の任命責任は大きい。そのうえ、少なくとも4人の自民党所属国会議員が500ドットコムから賄賂を受け取っている収賄容疑があるから、自民党総裁としての責任もある。野党の中の革新派は徹底的に追及すべきである。同時に、同首相が「桜を見る会」で明らかに政治資金規正法、公職選挙法違反を犯したのに、東京地検特捜部が全く動かなかったが、この点についても追及すべきである。

こうした事件のため、通常国会冒頭解散が予想されていたが、困難になったと見られる。次の時期は東京都知事選が投開票日を迎える7月5日で、告示は6月18日になる。通常国会は最短でも150日(延長1回)は開かなければならないので、1月20日招集-6月17日閉会-都知事選というのが基本線になる。ただし、自公両党としても追い込まれ解散は避けたいと思われるので、都議選とのダブル選挙もあり得る。

このため、野党と称する政党で立憲民主党と国民民主党が年明けに党首会談を開き、政党合流に向けて最終協議に入ることで合意している。しかし、立憲は、第48回衆議院議員総選挙を前に前原誠司代表率いる民進党(民主党の後継政党)が小池百合子氏率いる希望の党への事実上の合流を決めた際、2017年9月の民進党代表選で前原の対抗馬として出馬していた枝野幸男氏が、小池代表(当時)の旧民主党のリベラル派や「左派」を「排除する」との方針に反発し、護憲・リベラル系議員を中心に2017年10月2日に結党を宣言し、その翌日に届出た。

旧日本社会党系のサンクチュアリ(赤松広隆グループ)や、リベラル色の強い国のかたち研究会(菅直人グループ)の所属議員が多く主要メンバーとして結党に参加した。党職員にも、旧社会党の流れを汲む職員が多く参加している。

こうした経緯から、立憲は一時、政治をよく知る識者や国民から期待された旧民主党がリベラル派と自公補完派に分裂した結果として誕生した政党として期待された。しかし、その立憲と国民が、旧民主党崩壊の総括もなしに、再び合流することになる公算が大きい。その場合、「数」を優先し、理念と基本政策はそっちのけになる。山本太郎が代表のれいわ新選組が打ち出したような革新的政策(➀消費税の5%への引き下げから廃止を柱とした税制の抜本改革②「民営化」「改革特区」と称する利権支出や際限なく膨張する国防費の大幅カットを中心とした歳出構造改革③金融緩和から財政出動へのポリシーミックスの抜本転換④最低賃金1500円の導入④原子力発電所即時停止➄最低保障年金制を導入した公的年金制度の抜本改革-など)を国民に示せば良いが、そうはならない可能性の方が大きく、有権者の投票率を劇的に引き上げるには至らないと思われる。

昨年11月8日、「森ゆう子を盛りたてる会」で挨拶する国民の小沢一郎衆院議員(憲政記念会館)
自宅で開いた新年会であいさつする国民民主党の小沢一郎衆院議員(左)=1日午後、東京都世田谷区

両党合流を急がせているのは小沢一郎氏で、小沢一郎氏が率いた自由党は一時、山本太郎を共同代表にしていた。理念と政策で何らかの「密約合意」のある可能性もあるが、れいわ新選組の政策(政策連合・平和と共生オールジャパンの提唱した政策を受け入れたもの)を掲げなければ、野党は革新派と自公補完勢力の守旧派に分裂せざるを得ない。その場合、革新派が自公とその補完勢力を破ることは困難だが、一定の数の国会議員を確保できれば、国政刷新・日本改革の道は開ける。新年は、平和と共生を理念とし、新古典派新自由主義と決別した政策をもって「グローバリズム」という弱肉強食主義に対抗できる真の民主主義運動の胎動・成長に期待し、微々たるものではあるが、少しでも貢献したい。

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