7月5日投開票の東京都知事選挙の最大の争点はコロナ禍対策になった。東京都が6月19日に自粛要請を解除したことから、感染症学の専門家の間では2周間後に感染確認者が増加してくることを懸念していたが、その通りになってきている。政府=安倍晋三政権は緊急事態宣言の再発出は「総合的に判断する」という無策だが、自民党の傘下にあって、自公与党と御用組合の連合東京の支援受ける小池現職都知事候補も基本的には同じだ。これに対して、財源を提示するとともにもっとも強力なコロナ禍対策を打ち出しているのが、れいわ新選組代表の山本太郎候補だ。

昨日7月2日の「公式発表」では、全国の感染確認者は前日比195人増加した。このうち、東京都は一挙に107人増加した。小池現職都知事は東京都、新宿区などの勧めにより「PCR検査」受診者が増えてきたためと言い訳らをしてきた。しかし、東京新聞2日付の一面トップ記事によると、東京都の新型コロナウイルス感染症防止対策の事実上の責任者である国債医療研究センターの大曲貴夫センター長は、「感染経路不明の(感染者)数も増えており、要請者数の増加は積極的な検査によるものだけではない」としている。

時事通信社のサイトより
朝日デジタルより(https://digital.asahi.com/articles/photo/AS20200702005415.html)

大曲氏は、ある程度まともに、このまま何もしなければ、4週間後には一週間当たり約6倍(1日当たり160人程度)、8週間後には約40倍(1日当たり1060人)になると警告している。移動自粛を解除したことで、東京都を中心とした首都圏から全国に感染拡大が広まりつつある。

これに対して、同紙2面の「経済優先で緊急宣言に慎重な政府、再発例の数値基準示さず 東京都も休業要請には後ろ向き」と題する記事によると政府=安倍政権は、菅義偉官房長官が「再び緊急事態宣言を発出する状況に該当するとは考えていない。医療体制も問題ない」と、感染拡大防止よりも経済活動を優先させることを明言した。安倍政権に都知事選挙を頼っている弱みを握られている小池現職都知事率いる「東京都も休業要請などには慎重だ。小池都知事は2日の記者会見で『経済社会活動と感染拡大防止の2本立て』を強調した。小池氏は『休業要請のころ皆さんに我慢いただいた。あの状況に戻ることほどには誰にとっても好ましくない』として、都民への警戒呼び掛けにとどまった」という。

これは、安倍政権が理論的にも政策的にも現実的にも間違っている緊縮財政・財政再建路線に固執しているためで、自粛・休業要請協力金を1兆円程度の「財政調整基金」から気前よく出してきた小池現職都知事率いる東京都も、同基金が枯渇しているうえ、安倍政権に弱みを握られている小池現職都知事としても、打つ手がなく、かつ、都知事選挙当選を「ファースト目標」に定めているためだ。

しかし、「二兎追うものは一兎も得ず」というのが、古来の教えだ。安倍政権、小池現職都知事率いる東京都に対して、はっきり言って安倍政権の緊縮財政・財政再建路線の呪縛から逃れられていないため、似非野党にすぎなくなっている立憲民主党、国民民主党からも「『経済を動かすために(廃止した専門家会議の)専門家の声や数字を軽んじてはならない』(安住淳・立憲民主党国対委員長)、『ファクト(事実)より政治が優先している』(原口一博・国民民主党国対委員長)との批判が上がっている」。

れいわ新選組山本太郎代表の都知事選挙公約

コロナ禍対策と経済活動の「二兎」を追う強力な政策を打ち出しているのは、上図のようにれいわ公認の山本代表である。宇都宮氏もコロナ禍対策に重点を置いているが、現代貨幣理論を把握していないため、財源論が貧弱であることは否めない。両候補は山本候補の財源論を都政の柱として一本化するというのが本来の在るべき姿だが、そうはなっていない。事実上は自公両党の公認候補であり、御用組合の連合東京が支援する小池現職都知事が再選されれば、「休業補償なき自粛命令が下され、悪夢が現実のものになる」ことは目に見えている。

山本候補と宇都宮候補の一本化がなされないとすれば、山本候補が「選挙評論家」の予想を覆すほどに得票数を伸ばして、理念・政策で一致した「政策連合」形成の起爆剤になるべきだ。

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