植草一秀氏による人の移動指数とコロナ新規感染者数との関連図

日本有数の政治・経済・国際問題評論家の植草一秀氏が昨日2月15日午後8時から登場したYoutube番組で、米国のアップル社が公表している人口移動指数と新規コロナ感染者の関連図を示されたので、参考までに紹介しておく。日本での新規感染者数は減少傾向が続いているが、季節要因と人口移動指数が深く関係している。菅義偉首相が飲食店を対象に、遅ればせに発令した、しかも、不平等な補償措置による限定的な緊急事態宣言が主因なのではない。

2月16日コロナ感染状況

本日2月16日火曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では新規感染確認者は1週間前の2月9日火曜日の412人から62人減少して350人、500人以下は10日連続。重症者は前日比5人減少の92人(https://www.fnn.jp/articles/-/144762)。ただし、27人が亡くなられた。
東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は369.6人、PCR検査人数は6934.3人だから、瞬間陽性率は5.32%。東京都独自の計算方式では4.4%。感染経路不明率は49.39%。
全国では午後23時59分の時点で、新規感染者数は1308人、死亡者数は101人が確認されている。重症者数は前日比14人減の644人。ただし、英国などで変異した変異株への感染者は新たに23人が確認されており、京都府と鹿児島県では初。累計では空港の検疫も含めて合わせて151人の感染が確認されている。
【参考】東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、2月15日時点の実効再生産数は全国が前日比変わらずの0.75人、東京では同0.01人増の0.76人。簡易実効再生産数がこのところ横ばい水準なのに加えて、空港検疫をすり抜けた変異株への市中感染が拡大の様相を呈していることも気がかりだ。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移

以下の図は2月15日月曜日午後8時から、鳩山友紀夫元首相が主宰する東アジア共同体研究所(理事長は鳩山元首相、所長は孫崎享氏)によるYouTube動画「UIチャンネル」第380回放送で示されたもの。植草一秀氏はメールマガジン第2839号「正当性のない五輪」(一部は次のサイトに掲載:https://foomii.com/00050/2021013019111176081)で、「新規陽性者数変化に影響を与えるのは三つの要因があり、具体的には➀人の移動②感染への国民の警戒感③(風邪コロナの部類に属する)季節性要因(秋から冬場に活性力が最大になり、「夏風邪」という言葉があるように、夏にも普通は冬場ほどではないが再活性化する)ーの3つを指摘している。

もう少し具体的に引用させていただくと、次の内容だ。

人の移動と感染拡大の間にタイムラグがある。タイムラグは3週間。人の移動が拡大すると3週間後の新規陽性確認者数が増加する。1月下旬の新規陽性者数減少は年末から1月上旬の人の移動減少を反映している。(中略)

1月9日から11日まで3連休だった。日本海側では豪雪もあった。この3連休は人の移動が極めて低調に推移した。この週明けまでが1月3連休の影響が表出されるタイミングになる。しかし、人の移動指数推移を見ると最低値を記録したのは12月31日。12月31日以降は低水準ながら横ばい推移である(注:その影響が1月下旬以降に表れてきた)。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移

新規陽性者数が減少傾向を示した第二の理由は、感染への警戒感が拡大したこと。とりわけ複数人数での飲食等での活発な会話が感染拡大をもたらす。緊急事態宣言発出等により感染拡大への警戒感が強まった。その結果が新規陽性者数減少につながっている。ただし、第三の要因である季節性については3月までは感染を拡大させる要因として作用すると考えられる(注:ここは、季節要因を新規感染者数の変動の最大の要因と見るNPO法人医療ガバナンス研究所の上昌広理事長の見解と異なる。サイト管理者(筆者)としては、上理事長・医師の見識が正しいように思われる)。(中略)

ただし、傾向としては微増しており、1月15日の指数は93.59に増加した。その3週間後が2月5日に該当する。緊急事態宣言発出期間は2月7日までだが、その直前で新規陽性者数が再び増加することが予想される。東京都の新規陽性者数は2月第1週末に再び1000人を超える可能性が高い
と考えられる。(以下、略)

しかし、2月5日木曜日の新規感染者数は577人で、6日の東京都の感染者639人が週内での最多数になっている。植草氏の予想が必ずしも的中したわけではない。やはり、上氏の指摘が正しいように思える。しかし、人の移動指数が新規感染者数の先行指標であることは確かだ。サイト管理者(筆者)がまとめた新規感染者数の最近の動向を下図に示す。

米国アップル社日本の人の移動指数
米国アップル社日本の人の移動指数

これを見ると、植草氏の指摘のように1月15日に直近の最大数(極大値)を付けたのは確かだが、その後は28日まで低水準横ばいになっており、1月末近くの29日から再上昇に転じている。その影響は今週末(2月14日の週の週末)以降に表れることになるだろう。ただし、➀新型コロナの活性期が2月の立春以降衰えている場合は、東京都が感染急拡大で治療が必要な感染患者が急拡大し、保健所の資源がなくなってきた(パンク状態になっている)ことから「積極的疫学調査」と称する濃厚接触者の追跡調査に力を入れることができないでいることもあって、無症状感染者が発見されず、新規感染者数の増加としては表面化しない②英国や南アフリカ、ブラジルで変異した変異株の市中感染の状況(季節要因から来る活性化力の状態や市中感染拡大が抑えられているかどうかなど)によっては、これまた無症状感染者が発見されず、新規感染者数の増加としては表面化しないーことも有り得る。

以上のことから、新型コロナ感染拡大に対する国民の気持ちの緩みを抑えるためにも、再延長期限の3月7日までは様子を見極めなければならないだろう。もっとも、人の移動指数が増加傾向に転じていることに加えて、政府=菅政権もPCR検査の拡充方向に舵を切っていることは確かなようだが、抜本的拡充には非政府系の識者の要請からは程遠い(➀小出し②支離滅裂③右往左往ーが植草氏の指摘するコロナ禍対策の実質的な中身)ことから、無症状感染者が野放しになっていることには変わりがない。

以下に、植草氏が示した人の移動指数と新規コロナ感染視野数の相関図を掲げておく。人の移動指数にも十二分に注意を払わなければならない。アップル社は、徒歩、自動車、公共交通機関の三つの手段による人の移動指数を公開している。一番目は公共交通機関、二番目の図はすべての手段による人の移動指数を示している。

米国アップル社が公開している人の移動指数と新規コロナ感染者の相関図
米国アップル社が公開している人の移動指数と新規コロナ感染者の相関図
米国アップル社が公開している人の移動指数と新規コロナ感染者の相関図
米国アップル社が公開している人の移動指数と新規コロナ感染者の相関図

人の移動数は新規感染者の増減の先行指標であることがよく分かる。さて、植草氏は米大統領線について、中間選挙で共和党が米国の中西部で敗北したことから、大統領背でのトランプ氏の敗北を予想されていたが、これは、➀ディープステート勢力による大格差社会の是正に真剣に取り組まなかった②白人中心主義で多様性を尊重しなかったためーと総括。そのうえで、詰まるところ、米国はディープステートが支配する元の米国に戻っただけで、米国の対日圧力は強まると指摘している。民主党第一次政権の鳩山由紀夫首相ー小沢一郎幹事長を崩壊させたのも、ディープステートの対日工作の結果であるとしてきしている。キャンベル氏はバイデン政権下でアジア政策を統括するホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)に新設の「インド太平洋調整官」に起用された。

オバマ政権時代のカート・キャンベル国務次官補の対日戦略の転換を暴露したウイキリークス
オバマ政権時代のカート・キャンベル国務次官補の対日戦略の転換を暴露したウイキリークス

米国のディープステートが日本を隷属国にする(その最終目的は、日本のいかなる地域にも米国のディープステートが望むだけの軍隊を、望む場所に、望むだけの期間駐留させること)手法は、ガスライティング手法(日本国民を精神的に追い詰める手法)と呼ばれるもので、日本に過度に対中警戒意識を植え付け、日米安保条約に頼らざるを得ないように仕向けることだ。中国に対しては日本国内でも反中傾向が極めて強いが、鳩山元総理に対して習近平主席は「中国は覇権主義は採らない」と伝えてきているという。日本は今こそ、米国のディープステートに目を光らせるとともに、中国の急速な台頭いうという事実を冷静に分析し、言葉の真の意味での積極的平和外交政策に転換すべきだろう。

なお、日米安保条約第5条は、米国が日本を守ることを明記・確約したものではない。第5条の内容は次の通りだ。

各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。

前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。

第一に、条約の適用範囲は「日本国の施政の下にある領域」と帰されており、「日本の施政の下」という言葉で、領有権問題には立ち入らないことを暗に示している。バイデン大統領が尖閣諸島も安保条約の適用範囲と公言したと大々的に報道されたが、これは条約の趣旨から外れている。バイデン大統領流のリップサービスの可能性が高い。第二に、「自国の憲法上の規定及び手続に従つて」と明記している。米国では、他国との交戦権は大統領ではなく、上下両院議会が持っている。ディープステートが支配している米議会(上下両院議員)が日本を「防衛するために」交戦権を認めることはないだろう。

植草氏は最後に、➀平和主義外交②原発稼働ゼロ(注:原子力緊急事態宣言が解除されておらず年間許容被曝量が国際基準の1ミリシーベルトから20ミリシーベルトまで引き上げられたままで、フクシマ第一原発近辺の市町村住民は危険な中での生活を強いられ、国庫による支援策も打ち切られている。なお、神津里季生会長率いる連合の圧力を押しのけ、偽野党を排除する狙いもある)③弱肉強食主義の経済政策(アベノミクス)から共生主義に基づく経済政策への抜本転換(➀消費税廃止を目指した消費税減税②財政・金融政策の抜本的見直し③最低賃金の引き上げ➃奨学金徳政令➃生活保護制度の生活保障制度への転換など)ーを中心に、「政策連合による野党共闘」を強力に形成することで、政権奪還を訴えた。3月3日に(まともな)野党に対して「政策連合による野党共闘」を求める要望を行うという。

なお、暴力革命論をとうの昔に捨て、議会主義を重んじる路線に転換している日本共産党が政策連合による野党共闘」の主要な一員になることは当然のことだが、出来れば「日本共生党」など党名変更してはいかがかと提案はしている。また、「政策連合による野党共闘」を強固にするため、ディープステートの攻撃を受けた鳩山友紀夫元首相や前川喜平元文科相、さらには立憲民主党の小沢一郎衆院議員の力を最大限に活かすことが必要とも指摘している。


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