首都圏の3月7日「緊急事態宣言解除」強行は第4波招く可能性ー首都圏での変異株にも警戒
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複数のメディアによると大阪府、京都府、兵庫県の関西3府県で2月末までに緊急事態宣言が解除される見通しになったが、東京都など首都圏での3月7日までの解除強行は第4波を招く可能性が大きい。変異株の日本での市中感染が徐々に広まってきており、これにも警戒を要する。

2月23日コロナ感染状況
複数のメディアによると本日2月23日火曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では新規感染確認者は1週間前の2月16日火曜日の350人から75人減少して275人、東京都基準の重症者数は前日より1人多い77人だった。ただし、死亡者数は11人。
東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は318.3人、PCR検査人数は6846.0人だから、瞬間陽性率は4.65%。東京都独自の計算方式では3.8%。感染経路不明率は51.24%。
全国では午後23時59分の時点で、新規感染者数は1083人、死亡者数は54人が確認されている。重症者数は前日比19人減少の491人。【参考】東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、2月22日時点の実効再生産数は全国が前日比変わらずの0.89人、東京都は同0.03人減少0.90人だった。実効再生産数の傾向的な方向性は判然としない。注視が必要だ。

複数のメディアによると、政府=菅義偉政権の緊急事態宣言解除は関西の3府県では今月2月末までに行われる見通しになった。ただし、死亡者が全国でも有数で、保健所など医療体制を破壊してきた維新の大阪府などは警戒は要する。さて、東京都など首都圏では解除は3月入りしてのことになるだろう。

政府=菅政権ではステージ3以下での解除を目指しているが、これは7日移動平均での新規感染者数が1週間で人口10万人当たり15人未満(東京都で言えば7日移動平均で1週間で2400人、1日あたり300人以下)になることと、感染不明経路が50%以下であることが必要条件になる。本日23日火曜日の7日移動平均での新規感染者数は318.3人だから、300人以下になるめどは出てきた。感染経路不明率が50%前後から大幅に低下する見通しはないが、政府=菅政権は無視する可能性がある。医療体制ひっ迫の問題はあるから、3月7日ぎりぎりまで待つ可能性はなくはない。

ただし、小池百合子率いる東京都では、1日あたり新規感染者数が7日移動平均で1日あたり140人以下になることを目指している。しかし、100人未満で解除してもでも長い目で見れば、無症状感染者を発見する検査体制の確立には目を背けているので、京都大学の西浦博教授(理論疫学)のシミュレーションによれば、新規感染者の再拡大(リバウンド)がオリ/パラ開催予定の夏場に起きる。新学期や新入社員の入社式が予定されている4月の人口移動がこれを助長する。取り止めても、全国的な人の移動は避けられない。

西浦博京大教授のシミュレーション
西浦博京大教授のシミュレーション

 

東京都が本日23日午後15時に発表した新規感染者数は275人だが、7日移動平均での前週比は本日23日が86.1%で前日22日の86.9%からは大きくは減少していない。小池都知事が目標としてきた70%にはかなり遠い。また、1日あたりの新規感染者数の前週との差(減少幅)は21日日曜日に拡大したものの、その後は減少幅が少なくなっていることも気がかりだ。感染経路不明率も50%前後とステージ3/4の段階にある。本来なら、日本全国の感染震源地になっている東京都にとっては、緊急事態宣言の解除要件にはならない状況だ。

東京都のコロナ新規感染状況の推移
東京都のコロナ新規感染状況の推移

多少の繰り返しになるが、政府=菅政権の7日移動平均での新規感染者数は318.3人だから、300人以下に減少する状況が見えてきたと言える。しかし、だからと言って強行解除すればかなり早い段階で新規感染者の再拡大(リバウンド)が起きることになるだろう。ただし、新規感染者数が減少しているのは、➀新型コロナウイルスが活性化する季節要因(全世界的に新規コロナ感染者数が減少している)②過去の時点での人の移動指数の減少③PCR検査・抗原検査の対象を高齢者や基礎疾患のある都民、県民に限定しているーことが真の理由で、このほか、検査の制度を弱くしたとの説も流れているhttps://facta.co.jp/article/202103046.html)。

これに加えて懸念されるのが、英国、南アフリカ、ブラジルなどで変異した新型コロナ変異株が次第に市中感染を広げていることだ。朝日デジタルが本日午前9時に公開した「変異株、国内でクラスター 『第4波につながる可能性』」と題する記事(https://digital.asahi.com/articles/ASP2R512XP2RUTIL01F.html)を一部引用させていただきたい。

感染力が強いとされる新型コロナウイルスの変異ウイルスが国内でも徐々に広がってきた。水際対策は効いてきた一方、21日までに国内では16都府県で130人の感染者が確認され、3週間で5倍に増えた。変異株かどうか調べられているのは感染者全体の1割に満たず、全体像は見えていない。専門家は「第4波につながる可能性があり、抑え込みが重要だ」と指摘する。(中略)

そこで感染研(注:国立感染研究所)は1月、ゲノム解析より簡便なPCR検査で変異株が判定できるように、特殊な試薬や検査手順を全国の地方衛生研究所(地衛研)に伝達した。最終的な確定には感染研でのゲノム解析が必要になるが、自治体で早ければ数日で判定できるようになった。次の課題は検査の数だ。日本は比較的、変異株の検査が多い方だが、それでも感染確認された人の1割に満たず、地域差も大きい。(中略)

新しい技術を使って開発されたワクチンは、従来のワクチンに比べてウイルスの変異に対応しやすいとされ、ワクチンを開発する英製薬大手アストラゼネカは今秋までに、変異ウイルスに効くようにワクチンを改良するとしている。東京医科大の濱田篤郎教授(渡航医学)は「日本でも変異株が増えれば、『第4波』につながる可能性がある」と懸念する(以下、略)。

新型コロナウイルスの変異株が季節要因で春には活性化が衰え、初期には新規感染者として多人数では発見されない可能性もあるが、無症状感染者(ステルス・スプレッダー)に蓄積されるだろう。その場合には、夏場にかけての再拡大(リバウンド)を助長することになる。やはり、新規感染者が減少してきた今春に、第4歯への備えをしておくことが肝要だ。

なお、英国の製薬大手アストラゼネカ社も新型ワクチンの改良が必要だと言っている。米国のファイザー社がドイツのベンチャー起業・ビオンテックと共同開発したRNA型ワクチン、米国モデルナ社のRNA型ワクチンも改良が必要だ。新型コロナウイルスは変異しやすいから、仮に新型ワクチンの安全性・有効性・持続性が仮にかなりの確度で確認されたとしても、そのたびに、ワクチンを開発し直さなければならないということになれば、やはり、「ワクチン一本足打法」は危険だろう。

下図は入荷スケジュールだが要するに、はっきりとしたことは分からないということだ。

新型ワクチンの入荷スケジュール不明
新型ワクチンの入荷スケジュール不明

 

また、河野太郎行革担当相兼新型ワクチン接種担当相が21日日曜日午前のNHK討論会で明らかにしたように、新型ワクチンの入荷状況は未定だ(上図では年内に1億4400万個分入荷予定のうち40万回分が到着したことを示す)。また、2回接種しないと効果が出ないと言われていたが、1回でも良くなったとか、零下70度で保存しなければならないと言われていたが、零下20度程度でも可能とか、情報が錯綜している。

なお、東京オリンピックの聖火リレーは3月24日から始まる。それまでに、強行開催か中止かを決めなければならない。橋本聖子オリ/パラ組織委新会長が「女性理事を増やす」などと言っている時ではない。東京オリンピック/パラリンピックを強行開催する場合、基礎自治体の現場ではコロナ感染症対策、新型ワクチン接種体制の確立、オリ/パラの準備を同時に行わなければならなくなり、非常に厳しい状態に置かれる。第4歯が重なれば、どうにもならなくなるだろう。


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