連続首相在任期間更新も実績なく暴政続けてきた安倍首相、迫る政権終焉ー責任は野党側に

安倍晋三首相の連続首相在任期間が本日8月24日に2799日になり、大叔父の佐藤栄作首相(当時)の最長記録を更新した。しかし、これまでの在任期間中にまともな実績はない。むしろ、内閣法制局の日本国憲法解釈を覆し、憲法違反の「集団自衛権」を認める安保法制を制定し、森友学園・加計学園・桜を見る会前夜祭に見られる国民の財産・血税の不正利用疑惑、側近の河合克行前法相・河井案里参議院による膨大な買収容疑など、悪政・暴政の限りを尽くした。アベノミクスと命名した「政策」の中心目標である国内総生産(GDP)の600兆円超えは達成しておらず、むしろ、新自由主義による緊縮財政が原因で「失われた20年」は「失われた30年」になり、長期デフレ不況は継続している。これに追い打ちをかけたのが新型コロナウイルスによるコロナ禍。少なくとも感染拡大は高水準で高止まりし、死亡者もつれて増加しいる。実質国内総生産は今年第2・四半期に年率換算27.8%と大幅に落ち込み、政府=安倍政権が描いている「V字型回復」などは夢のまた夢。加えて、健康悪化・重症説も飛び交い、臨時国会さえ開催できない状態だ。既に自民党内部では後継総裁選びが進行していると見られ、内閣総辞職、安倍首相退陣も射程に入っている情勢だ。もっとも、こうした政権を存続させたのは野党側に最大の責任がある。今こそ、日本の閉塞状況を打破し、真の意味での「戦後政治の総決算」と「日本一新」ができる真正の野党が出現しなければならない。

◎NHKのWebサイトの報道によると、24日の新規新型コロナ感染者確認数は8月8日以来の100人を下回る95人になった。朝日デジタルによると20代〜30代の若者以外は全体の43%。都基準の重症者は前日比1人減の38人。検査結果が反映される3日前のPCRなどの検査人数は2911人でピーク時の11日と比べて3900件程度大幅減少している。検査人数の大幅な減少についてサイト管理者(筆者)が東京都に聞いてみたところ、検査人数は曜日ごとの変動が激しいことに加え、感染経路の不明な市中感染が拡大し濃厚接触者の追跡調査に伴う検査が困難になってきたことなどが挙げられるという。この結果、推定瞬間陽性率は3.3%。ただし、都が発表している7日移動平均の公式陽性率は23日午後19時15分時点で5.3%。世界保健機構(WHO)はコロナの感染拡大がコントロール出来ているか否かの判断基準として陽性率5.0%を挙げている。なお、感染者が若者から中高年齢者に拡大していることに伴い、全国の重症者、死亡者は急増している(本文参照)。

全国では24日22時現在、492人の新規感染者が確認され、13人が亡くなられた。朝日デジタル2020年8月24日21時16分公開の記事によると、「新型コロナウイルス対策について厚生労働相に助言する専門家組織(アドバイザリーボード)は24日、『第2波』とも言われる現在の流行は7月末がピークとみられ、新規感染者数は緩やかに減少している(が、中略)重症者数は増えており(中略)、実効再生産数はまだ1に近い。感染者数が多い地域では、店舗への営業時間短縮や休業要請をやめると、感染が再拡大する可能性があると指摘した」という。ただし、「ピークアウトではない(脇田隆字座長)」。PCR検査や抗体検査を飛躍的に増加させるべきとの提言がなされたかどうかは不明。

下図は、TBSのサイト(https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4059784.html)からのもので、2012年12月の組閣時の記念写真。安倍首相の側近たちは、本日はコロナ禍のため記念の式典を開くどころではないとしているが、それなら何故臨時国会を召集しないのか。27日の党役員会も中止になっており、健康不安説が広まっている。もしそうなら、臨時国会の召集はもちろん、二階俊博幹事長とともに解散・総選挙の陣頭指揮を取ることもできない。早く麻生太郎副首相を代理に立てるか、辞職して療養に努めるべきだろう。

安倍首相連続在任記録更新
安倍首相連続在任記録更新

日本経済は長期デフレ不況の状況にあるから、国内総生産(GDP)と言えば名目値で見ておいたほうが良い。日本の名目GDPは安倍政権が樹立され、本格的に政権運営を行い始めた2013年に508兆7806億円だったが、2019年には 557兆7198億円と600兆円にはほど遠い。各国の名目GDPの伸び率を指数化して比較したものが下図である。日本の停滞ぶりは凄まじい(GDPの比較はドル換算で行われるが、アベノミスクの下では円安政策が採られたため、ドル換算のGDPはほとんど増加していない。ただし、日本以外はドルベースに換算してもGDPは着実または大幅に増加している)。

世界主要国の名目GDPの伸び率
世界主要国の名目GDPの伸び率(https://www.data-max.co.jp/article/32671)

付け加えると、https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2020/qe202/gdemenuja.html(csvファイルで公表)で実質GDPの推移を見ても、安倍政権発足時の2012年第4四半期は496兆3270億円だったが、2020年第2四半期は485兆1786円と減少している。この間、若干は増加したが上昇率は極めて鈍い。そして、コロナ禍で下回った。財政・金融政策がただしければ、8年後の実質GDPが減少するなどのことはなかったであろう。また、労働者1人当たりの実質賃金は6%も減少した(参考:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r02/0206p/0206p.html)。その代わり、財務省の法人企業統計によると企業の今年第1・四半期は資本金一千万円以上の企業(金融・保険業を含む全産業)の当期純利益(内部留保)の総合計は534兆7240億円と巨額に上る。企業と勤労者の「格差」の拡大(資本論的に言えば資本家による労働者の搾取)が猛烈に進行したのである。これらの結果を、アベノミクスの破綻と言わずして、何ということができるのか。

※参考までに全国労働組合総連合(全労連)厚労省の毎月勤労者統計などをもとにした世界各国の実質賃金の推移を下図に示しておく(統計情報の製薬から2016年まで。https://www.zenroren.gr.jp/jp/housei/data/2018/180221_02.pdf)。

実質賃金の国際比較
実質賃金の国際比較

なお、政府=安倍政権はコロナ禍のためプライマリー・バランスの早期黒字化も諦めた。ようするに、「税と社会保障の一体的改革」と国民をだまして消費税増税を強行しても、プライマリー・バランス(税収の範囲内で歳出を行うという「理論」で、その差額の基礎的財政収支)は赤字が2028年まで続くという展望になったいる。苦肉の策で、取り敢えず2029年に黒字になると何の根拠もなく示したわけで、緊縮財政による「財政再建」を財政金融政策の大きな柱のひとつとしてきたアベノミクスの完全な破綻を示すものである。

政府=安倍政権のプライマリー・バランス財政収支の見通し
政府=安倍政権のプライマリー・バランス財政収支の見通し

日本の医療技術をもってしては、コロナ禍で有効なPCR検査と抗体検査の検査数を極めて少ない水準に抑制してきたうえ、基本的に無症状で感染拡大力の強い感染者を野放しにしてきたから現状、感染の第二波襲来のただ中にあり、経済活動も本格化しない。むしろ、経済活動を野放図にすることが原則になっているので、その中で感染は再拡大し、経済活動も縮小を余儀なくされることになる。事実上無減原則の経済活動再開→感染拡大→経済活動の縮小→感染拡大に鈍化傾向→無減速の経済活動再開の悪循環に陥っている。これでは、「無原則の二兎追い」は「二兎失い」になる。

なお、コロナの第二波による全国の重症者はNHKのWebサイトなどによると8月1日の80人から昨日23日には254人に急増。厚生労働症のサイト(https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/open-data.html)などからすると、全国の死者数も7月の37人から同じ昨日の23日までに174人へとこれまた急増している。第一波よりは増加数が少ないが、これは、感染の第二波では若者の感染者が多かったため。しかし、このところ中高齢者にも感染が広がっており、連れて死亡者数も急増している。

失業率も僅かな休業補償しか出ない休業者(最大で600万人超、失業予備軍)を加えると、年末には6月現在で2.8%失業率は今後、10%を超えることもあり得る。

日本の失業率
日本の失業率(https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html)

企業の倒産・廃業が今後増加してくることや家計の最終消費支出の落ち込みを考慮すると今後、少なくともコロナ禍大不況が到来するのは避けられない。大凶から第規模スタグフレーションへの暗転も考慮しておかなければならない事態だ。

日本の国民と経済社会のことを考慮すれば、コロナ感染防止対策の抜本転換と経済再建のため、臨時国会は早急に召集しなければならない。しかし、安倍首相にはその気はない。それどころか、かなり厳しい安倍首相の体調不良説が飛び交い、数々の悪政・暴政に対する批判と自己嫌悪で、政権を担当する意欲も萎えているとの見方も広がってきた。

朝日新聞は24日付2面の「難局にはリセットボタン 最長政権の原動力と漂う不安感」と題する記事(朝日デジタルは2020年8月24日6時00分に公開)で、「首相側近の世耕弘成・自民党参院幹事長は『最長記録を超える節目で、一度ゆっくり休暇でも取ってほしい』とねぎらうが、自民党ベテラン議員は『首相は内心では記録更新の節目は重視しているだろう。今後支持率上昇は見込めない。体調に問題があるのならいっそ早めに辞任ということもありえる』と今後の政権運営に不安をにじませた」と伝えている。

健康不安説が正しければ(その可能性は高い)、安倍首相としては追い込まれ解散・総選挙は避けたくても解散・総選挙は行えないだろう。菅義偉官房長官と自民党の二階俊博幹事長が頻繁に秘密の会合を開いているのも問題だ。次期総裁選びで検討しているか、もめている可能性もある。基本的にはリセット解散・総選挙になる可能性がかなり高い。

◎追記(24日午後18時):大手マスメディアの報道によると。安倍首相は本日24日にも再度慶応大学附属病院に行って追加検査を受けた後、「体調管理に万全を尽くし、これからも首相としての仕事に頑張りたい」との旨の発言を行ったと言う。体調管理に万全を尽くしというのは体調に異変があることをうかがわせる発言とも受け取れる。また、仕事に頑張りたいというのなら、早急に臨時国会を召集するなど、コロナ禍による感染拡大の防止と経済対対策の先頭に立つべきだ。また、「検査結果について公表する」旨の発言を行ったことも、うがった見方をすればある「決意」をしているようにも見受けられる。

さて、日本国憲法と国民にとっては悪政・暴政の限りを尽くしてきた政府=安倍政権が長期存続し、安倍首相が連続首相在任期間を更新した最大の理由は、日本労働組合総連合会(連合)の支配を受けた立憲民主党、国民民主党にある。立憲は旧総評系、国民は旧同盟系の連合の支配下にあると言われるが、基本的には電力総連や自動車総連、電機労連などの旧同盟系の産業別労働組合が連合を牛耳っている。だから、連合は原発再稼働、多額の消費税還付金が得られることから、消費税増税賛成と自民党の政策に賛同している。これでは、立憲も国民も自民党から政権を奪取し、日本を一新することができる「確かな野党」にはなり得ない。

こうした中で、神津里季生連合会長は支持率の低い国民を諦め、事実上の立憲による国民の吸収合併を急がせたと見られる。支持基盤の弱い国民の衆参両議員、特に衆院議員は連合の支援を受けなければ当選できないから、必至で解党と新党合流に向けて動く。立憲は民進党の後継政党ではないので、軍資金が極めて少ない。だから、国民の解党で新党合流ということになったのであろう。

ただし、合流新党の綱領案には連合の影が落とされていて、「一日も早い原発ゼロ社会の実現を目指す」というのも、玉虫色の表現だ。原発停止・廃止は既に世界の潮流だ。原発依存の地方自治体の産業振興策や原発従事者の雇用問題は解決しなければならないが、このことを前提として「原発再稼働は認めない。稼働している原発は原則即時稼働停止」にまで踏み込んでいなければおかしい。

既に、「東京電力」や東芝は血税で生きながらえているゾンビ企業で、日立や三菱重工業も政府=安倍政権の「原発プラント輸出」に騙されて、指示通りに取り組んだが全て失敗、原発製造関連企業は「死屍累々」の状態だ。

これでは、日本は産業構造の転換に失敗し、「最も遅れた先進国」という「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と煽てられた時代とは対極の「貧国」に成り下がってしまう。また、最も重要な政府=安倍政権の「緊縮財政」を徹底的に攻撃し、「消費税廃止」と「異次元の積極財政」を打ち出し、「無党派層」と呼ばれる眠れる政治(野党)不信層。与党・野党無関心層の信頼を回復しなければならない。

なお、Youtubeの動画で原口一博国民民主党国会対策委員長(衆議院議員)は、消費税率のゼロ%への引き下げ、つまり、消費税廃止を射程においていると語った。国民の玉木雄一郎代表が消費税率の5%への引き下げを主張しているのも、あながちパフォーマンとも言えず、消費税廃止を柱とした税制の抜本改革を考えているのかも知れない。立憲の枝野幸男代表が頑なに玉木代表との党首会談を拒んだのも、税制改革抜本改革を拒否しているのだろう。

これに関して立憲執行部はまた、山本代表が都知事選出馬の条件として消費税の5%の引き下げも拒んだ。なお、枝野代表は、れいわの山本代表と国民の馬渕澄夫衆議員が共同代表になって構成した「公平な税制を考える会(主な柱は消費税廃止と所得税の累進課税制度の強化、法人税への累進制度の導入)」(立憲、国民合わせ42人が参加)への立憲議員の出席も妨害した。

今のところ、これらの政策を掲げているのは山本太郎代表率いるれいわ新選組だけだ。ただし、国会議員が参院議員2人だけの豆政党でしかない。しかも、西田恒樹氏の「政治による生命の選別」への対応が遅れ、しばらく山本代表の音沙汰がなかった。しかし最近の山本代表のYoutubeの動画で、れいわ新選組が党規約の改正とコロナ第二波の影響を受けての企業の実地調査に取り組んでいたことが明らかになった。加えて、8月下旬からゲリラ活動を開始するという。

そんな矢先、国民の名物女性議員・山尾志桜里(しおり)衆院議員と山本代表ほか消費税減税に賛成の他の2人の国会議員が19日に会合を持っている。玉木代表も傘下の予定であったが、党務を理由に出席できなかったとしている。本当にそうなのか、逃げたのかは不明だ。2020年8月21日20時03分に公開された毎日新聞のWebサイト(https://mainichi.jp/articles/20200821/k00/00m/010/223000c)によると、21日時点新党に合流しない国民の議員は9人で、態度未定の議員は20人(衆院8人、参院12人)。合流に加わらない衆参の国民国会議員のうち、結成が考えられている玉木新党に加わらない議員もいるが、古川元久代表代行、山尾志桜里衆院議員は合流する意向だ。玉木氏を含め、政党要件を満たす衆参両院議員5人が集まり、「玉木新党」が出来る可能性もある。

ただし、消費税率の引き下げは自民党も総選挙で目玉公約のひとつにする考えでいる。こうなると、立憲が中心となる合流新党も「証文の出し遅れ」にならないようにしなければ、とても選挙に勝って政権を奪取することはできないかもしれない。なお、玉木氏は日本国憲法問題=安全保障問題でブレがある(集団自衛権の解釈変更には賛成の立場だったが、安保法制には反対した)が、安保問題での持論の確立が問われる。

うがった見方をすれば、枝野代表らは議員特権のうえにあぐらをかいた「1955年体制」を目論んでいるのかも知れない。ただし、枝野代表は埼玉5区の選挙基盤が弱いと言われている。日本維新の会が刺客を送れば、枝野支持層を切り崩すことができ、自民党候補の当選に一役買うことができる。このところ、化けの皮が剥がれだしたとは言え、日本維新の会の「東征」はあなどれない。枝野氏が小選挙区で負けるようなことがあれば、合流新党の勢いはたちまち失速する。

いずれにしても、戦後の日本憲政最大の「悪党」は政治屋利権の獲得に余念がなかった自称「野党」である。「日本一新」を実現できる確かな理念と政策を持った「真正野党」の「大同団結・共闘」が今、最も必要な時期に来ている。




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