感染者爆発後に「非常事態宣言」出しても遅い-共感呼ぶ山中教授の提言

2020年4月3日に日本の新型コロナウイルス感染確認者が初めて1日で300人を突破し、353人となった。感染確認者の増加数の加速を考えれば、政府=安倍政権の新型コロナ感染症対策=PCR検査抑制方針を根本から変更し、改正インフル特措法を善用して「非常事態宣言」を発令すべき時である。その際、2012年のノーベル生理学・医学賞受賞者の京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長が個人的に開設しているサイトの「5つの緊急提言」が参考になる。

NHKなどメディアの報道によると4月3日午後12時現在の新型コロナウイルス感染者は「新たに全国で353人の感染が確認され、1日に確認された感染者の数が、初めて300人を超えました。日本で感染が確認された人は、空港の検疫で見つかった人やチャーター機で帰国した人なども含めて3129人と、3000人を超えました。さらにクルーズ船の乗客・乗員が712人で、合わせると3841人となります」「また3日は、東京都で2人、愛媛県と福岡県でそれぞれ1人が死亡し、死亡した人は国内で感染した人が77人、クルーズ船の乗船者が11人の合わせて88人となっています」ということである。

東京都が公表した4月3日午後12時時点のPCR検査数と感染確認者数

東京都では4日に68人の感染者が確認され、累計で773人。日本の致死率は全体で2.3%で、クルーズ船を除くと2.5%。緊急入院後に肺炎で亡くなられる方も少くないが、死亡後にPCR検査を行い陽性だったことが判明したという事例もある。自由民主党政務調査会長(第43代)、国民新党代表、内閣府特命担当大臣(金融担当)を歴任された元衆院議員の亀井静香氏も「月刊日本4月号」で述べているように、新型コロナウイルスによって新型肺炎で亡くなられた方も相当数存在すると見られる。正式な統計が公表されていないから不明だが、この点も考慮すれば致死率2.5%前後というのは高い。

新型コロナウイルス感染者確認者は、感染症法にいう第二類指定感染症に指摘されていると見られ、また改正インフル特措法の「インフルエンザ等」と同等の扱いを受けることから、軽症であれ重症であれ、強制入院の適用対象者になっている。強制入院が可能な「帰国者・接触者外来」を持つ医療機関は全国で840ほどしかなく、東京都は20〜30医療機関程度だから、病床の不足解消が喫緊の課題になっている。このため、厚生労働省令を改正あるいは新規に発令して、軽症者については「帰国者・接触者外来」を持つ医療機関ではなく、オリンピック選手村やオリンピック応援者用に予約されたホテルを援用するなどの措置を取らなければならない。マスコミなどによれば、現にその方向で東京都が交渉に当たっている。

しかし、重症患者や重篤患者の病床に限界が出てくることは避けられない事態だ。「帰国者・接触者外来」を持つ医療機関という壁をなくし、一定以上の陣容を持つ高度医療機関・総合病院にも受け入れてもらえるよう、院内感染を防ぐための防疫体制の整備を大前提として対策を行うべきだ。改正インフル特別措置法を善用して、もはや「非常事態宣言」を発令すべきだ。あの立憲民主党の枝野幸男代表でさえ、「何故、(改正インフル特措法に基づく)非常事態宣言を発令しないのか」と政府=安倍政権を追及している。

植草一秀氏のメールマガジン第2593号「コロナ感染者数6月に10億人突破の勢い」によると、
「米ジョンズ・ホプキンス大学システム科学工学センター(CSSE)の集計によるとコロナウイルスの感染確認者数は4月3日時点で100万人を突破した。死者は5万3000人に達した。
感染者数が50万人を超えたのが3月27日、わずか1週間で2倍になった。このペースで感染が拡大すると4月末までに感染者は1000万人を突破し、5月下旬には1億人を超え、6月中旬には10億人を突破する。
脅威であるのは死亡率が高いことだ。100万人の感染者数で5万3000人の死者であるから致死率は5.3%。5月下旬に感染者数が1億人を超えると死者は500万人を超え、6月中旬に感染者数が10億人を超えると死者は500万人を超える。
第2次世界大戦による犠牲者数は5000万人~8000万人とされる。1918~19年にかけて感染が拡大したスペインかぜによる死者は5000万人~1億人とされる。これに匹敵する犠牲者が発生することになる」
と極めて厳しい警告をしている。

20011年3月11日に発生した東北地方太平洋震災(東北大震災)、フクシマ第一原発事故は「100年に1度の未曾有の危機」と言われるが、パンデミック(新型感染症の世界的流行)にも「100年に1度のパンデミック」というのはあり得る。スペイン風邪がそれだった。スペイン風邪のあまりの被害に、第一次世界大戦中の欧州諸国も戦意を喪失した結果、大戦が集結したとの説もある。新型コロナウイルス感染症の大パンデミックとそれから引き起こされる世界恐慌にも匹敵する経済社会情勢の悪化は、人類に対する警告のように思われて仕方がない。

政府=安倍政権は司法・検察とマスコミを掌握しているため、国民は騙せる。ただし、そうした暴政を阻止する最終的な責任は日本国憲法が「基本的人権の尊重・国民主権・平和主義」の原則を三大原則としている限り、日本国民である。今こそ、国民は自己の責任で叡智を結集し、政府=安倍政権や地方自治体を制御下に置かなければならない。そのうえで参考にすべき内容が、山中所長が自らの責任で開設したサイトに掲載された「5つの緊急提言」である。本サイトの内容とも符合するところが多いので、基本的な部分を引用させていただく。詳細は原文に当たられたい。

ノーベル生理学・医学賞を受賞し、個人の責任で新型コロナウイルス感染症対策のためのサイトを公開した山中伸弥京都大学iPS細胞研究所所長・カリフォルニア大学サンフランシスコ校グラッドストーン研究所上席研究員

本投稿記事は、5つの提言の内容・骨子を述べさせていただく。
提言1 今すぐ強力な対策を開始する
ウイルスの特性や世界の状況を調べれば調べるほど、新型ウイルスが日本にだけ優しくしてくれる理由を見つけることが出来ません。検査数が世界の中でも特異的に少ないことを考えると、感染者の急増はすでに始まっていると考えるべきです。対策は先手必勝です。中国は都市封鎖をはじめとする強硬な対策をとりましたが、第1波の収束に2か月を要しました。アメリカの予想では、厳密な自宅待機、一斉休校、非必須の経済活動停止、厳格な旅行出張制限を続けたとして、第1波の収束に3か月かかると予測しています。
わが国でも、特に東京や大阪など大都市では、強力な対策を今すぐに始めるべきです。一致団結して頑張り、ウイルスに打ち克ちましょう!

提言2 感染者の症状に応じた受入れ体制の整備
無症状や軽症の感染者専用施設の設置を
・省令等により、無症状や軽症の感染者は、病院でなく専用施設で経過観察できるようにする。
(以下は、原文をご覧ください)

提言3 検査体制の強化(提言2の実行が前提)
これまでわが国は、無症状や軽症の感染者の急増による医療崩壊を恐れ、PCR検査を限定的にしか行ってきませんでした。しかし、提言2が実行されれば、その心配は回避できます。また、このままでは医療感染者への2次感染が急増し、医療崩壊がかえって加速されます。自分が感染していることに気づかないと、家族や他の人への2次感染のリスクが高まります。また感染者数を過小評価すると、厳格な対策への協力を得ることが難しくなります。一方で、検査は検体を採取する医療関係者への2次感染の危険を伴います。さらに検査場に多くの人が殺到すれば、感染がかえって広がる恐れもあります。安全な検査体制を工夫する必要があります。PCR検査を必要な時に必要な数だけ安全に行う体制の強化が求められています。これは世界各国の行政や科学者の知恵比べです。

提言4 国民への協力要請と適切な補償
短期間の自粛要請を繰り返すと、国民は疲弊します。厳格な対応をとっても、中国では第1波の収束に2か月を要しました。アメリアでは3か月と予測しています。第1波が収束しても、対策を緩めると第2波が懸念されます。対策は、ワクチンや治療薬が開発され、十分量が供給されるまで続けなければなりません。数か月から1年にわたる長期休業の間、事業主に対しての補償、従業員に対しての給与の支払いや再開時の雇用の保証を、国と自治体が行う必要があります。
国民に対して長期戦への対応協力を要請するべきです。休業等への補償、給与や雇用の保証が必須です。各国首脳や政治家の手腕が問われています。新型コロナウイルスは日本だけを特別扱いしてくれないはずである。

提言5 ワクチンと治療薬の開発に集中投資を
ワクチンの開発には1年は要する見込みです。アビガン等の既存薬が期待されていますが、副作用も心配されます。新型コロナウイルスの特性に応じた治療薬の開発が緊急の課題です。アメリカ等でワクチンや治療薬が開発されても、日本への供給は遅れたり、高額になる可能性もあります。産官学が協力し、国産のワクチンと治療薬の開発に全力で取り組まなければなりません。

正論中の正論である。ただし、提言4に関しては、朝日デジタルによると「政府・与党は3日、新型コロナウイルスの感染拡大によって所得が一定程度減少した世帯に対する支援策として、1世帯30万円の現金を給付することを決めた。安倍晋三首相と自民党の岸田文雄政調会長が同日、合意した。給付金がはやく届くよう、自己申告制とすることも固まった」という。この投稿記事の中で「所得が一定程度減少した世帯」の定義が示されていない。財政出動は今回のように休業、解雇をやむなくされる場合においては、➀迅速②簡素③直接-が基本である。政府=安倍政権がこれに沿わない「内容」をいくら画策しても、国民の健康と財産を守ることは出来ないだろう。結局のところ、「内閣総辞職」が最良の「新型コロナウイルス感染症拡大阻止」対策ではないだろうか。

※注:世界各国の感染者確認数を対数目盛りで縦軸に取り、日付を横軸に取って各国の感染状況をグラフ(曲線)で比較すると各国の感染確認者の推移が分かるが、世界各国ともおしなべてカーブを描いているのに対し日本だけはカーブというよりも直線になっている。感染確認者の増加が非常に緩やかであることを意味するが、これは世界各国に比べてPCR検査が極端に少ないためと見られる。しかし、そういう状況下においても東京オリンピックが延期になった途端に感染確認者が加速してきていることには重大な注意が必要である。新型コロナウイルスは日本だけを特別扱いしてくれないはずである。

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