●今、東アジアがその時を迎えている

われわれは今や、マックス・ウェーバー=大塚史学=内田方明の辺境革命論を頼りに、早足で現代史を位置づけるところまで漕ぎ着けた。すなわち、現代は、第一次世界大戦後、英国に代わって米国が文明の先進地帯になった。しかし、第二次世界大戦後は軍産複合体と多国籍業の暗躍で次第に衰退するようになり、冷戦に勝利して復活したように見えたのも束の間、弱肉強食の新自由主義を採用した(これによって、ウェーバーの言う人類の歴史とともに古い「選民資本主義」に暗転した)ため、リーマン・ショックに象徴されるバブルの惹起・崩壊、社会階層の分裂・分断に見舞われるなど経済社会が混乱を重ねた。そこに、コロナ禍が追い打ちをかけている。

この意味で、現代は第四期の辺境革命に遭遇していると思われる。なお、ロシアに始まった共産革命の失敗は、それが先進資本主義国の豊かな生産力と合理的禁欲のエートスを継承、発展できなかったところにある。

実は、西欧からロシア・バプティスト派とも言うべき勢力がロシアに流れ込み、独立自営農民層を形成する動きもあり、ピョートル・ストルイピンの「上からの資本主義化」を行う試みもあったが、共産革命によって挫折した。マックス・ウェーバーはロシア第一次革命が勃発すると1週間でロシア語を独習、「ロシア革命論」(林道義)を執筆した。この著書で、ロシアは「共同体間分業」ではなく、「共同体内分業(大塚の言う局地的市場圏)」を発展させて、独立自営農民層、高度な技術を持った手工業層を育成する必要があると指摘したが、これらの動きは共産主義革命によってすべて潰された。

共産革命は「疑似第四期辺境革命」としてしか位置づけられない。スターリンは神学校を卒業しているが、スターリンが行った「集団農場化(コルホーズとソフォーズの形成)」は、日本の大化の改新後に成立した律令国家の「公地公民制」のようなものであり、「古代化社会主義革命」(林道義の「スターリニズムの歴史的根源」)としか言いようがなかった。ロシアで起こった二次にわたる共産革命はせいぜい「疑似第四期辺境革命」としてしか位置づけられない。

それでは、真正の辺境革命は起こり得るのか。現代はその激動の揺籃期と言えると思うが、サイト管理者(筆者)は基本的には東アジア地域が周辺・辺境地帯になると考えている。ただし、困難を極めることになる。本稿では大まかな流れと克服すべき重要な課題について触れるに止め、詳細については本サイト全体で投稿させていただくことにしたい。

 

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