オリパラ中止決断で菅首相5月解散決断か。若手は造反、小池都知事も首相に最後の挑戦(冒頭大幅追記)

永田町で菅義偉首相は、ウソをついて日本にオリ/パラを誘致した安倍晋三前首相に責任をなすりつけ、新型コロナの新規感染者数の減少と実質的に国民の80%がオリ/パラ開催に反対、コロナ禍対策に国費を投入せよとの声を受け、コロナ感染症対策を優先して、オリンピック中止を決断、5月に解散を行うというシナリオを描いているようだ。しかし、菅首相には長男の総務省幹部の接待疑惑があり、総選挙での苦戦は必至だ。選挙基盤のない若手が菅首相(総裁)を引きずり下ろし、河野太郎行革相を総裁候補に立てて対抗する見込みのようだ。加えて、小池百合子東京都知事がオリ/パラ中止で引責辞任を行い、総選挙に東京第1区(千代田区中心)から出馬、立憲民主党の海江田万里衆院議員(同党最高顧問)を破って当選を勝ち取り、二階俊博自民幹事長の後ろ盾で、首相の座を目指すというシナリオもある。ただし、夏場には新型コロナ感染者が再拡大し、シナリオ通りに進むかは不明なところがある。野党側は野党共闘を強化し、国民の生命と生業を守る理念、政策体系を明確に打ち出して国民に示す必要がある。野党共闘・小選挙区での候補者一本化調整のキーマンはやはり、立憲の小沢一郎衆院議員だ。

2月14日日曜日コロナ感染状況

本日2月14日日曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では新規感染確認者は1週間前の2月7日日曜日の429人から58人減少して371人、500人以下は8日連続。重症者は前日から1人減って103人(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)。死亡者は6人。前週に比べて新規感染者の減少幅は減っている。
東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は380.0人、PCR検査人数は6309.4人だから、瞬間陽性率は6.02%。東京都独自の計算方式では5.0%。感染経路不明率は47.74%。PCR検査人数は減少している。
全国では午後23時59分の時点で、新規感染者数は1364413644人、死亡者数は38人で重症者数は前日比25人減少の668人。累計死亡者数は内船扱いだった豪華客船のダイヤモンド・プリンセス号を含め累計6983人。15日にも7000人を突破しそうだ。
【参考】東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、2月13日時点の実効再生産数は全国が前日比0.01人減の0.73人、東京とか同0.04人減の0.73人。減少傾向が続いている。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移

本投稿記事は、朝日新聞経済部記者、アエラ編集部記者を経て現剤ジャーナリストの佐藤章氏の情報(https://www.youtube.com/watch?v=KjZU6-wwljo)をサイト管理者(筆者)の視点で解釈したものです。
【追記:2月15日午前06時30分】
第一に、佐藤氏は通常国会終了後の今年6月に菅義偉首相が解散、7月総選挙に打って出ると語っているが、7月には東京都議会選挙があり、公明党は7月総選挙には強く反対している。このため、本投稿記事では今通常国会での2021年度一般会計予算後であり、北海道2区、参院議員長野選挙区、同広島選挙区で補選が行われる4月25日後の5月解散・6月総選挙とした。ただし、解散・総選挙と補選を同時に行うシナリオも考えられる。

第二に、菅義偉首相が密室での談合で少なくとも森組織委会長に「できれば、女性(会長)が良い」と語ったとの報道もあり、武藤敏郎事務総長が記者会見で発表した「会長選考検討委員会」で新会長に女性が選ばれる場合、「オリンピック中止」の「英断」宣言に踏み切る決断は困難になる可能性は残されている。その場合は、菅首相としても東京オリンピック/パラリンピック開催に突き進むしか道は残されなくなり、任期切れ総選挙というシナリオも考えられる。総選挙で自公両党で過半数を獲得できれば、自公連立政権は維持できるが、議席を大幅に減らせば、菅首相(自民党総裁)の責任論が噴出し、自民都内で大規模な権力争いが生じる。野党共闘で自公側が完全に敗北、政権交代が起きれば、菅総裁は退任ということになる。

なお、武藤事務総長は記者会見では選考過程の透明化をうたっていたが、委員会のメンバーは非公開のようだ。これでは、透明性を確保したことにはならなく、実質的な「出来レース」になる。海外のメディアからは大きな批判を浴びるだろう。組織委理事会の理事が立候補して、選挙で選ぶというのが透明性を確保する唯一の道だ。また、菅首相の決断は、聖火リレーが福島県から始まる3月24日前に発表されなければならない。国際オリンピック委員会(IOC)で3月10日にトーマス・バッハ会長の再任が見込まれているから、菅首相が「中止」を決断するとすれば、その間という見方が強い。

さて、東京オリンピック/パラリンピック組織委員会は森喜郎会長(当時)の「女性蔑視」発言で、欧米先進国をはじめ世界中から非難のを浴びて、日本の恥を世界に晒し、国益を大きく残った。これをうまく利用したのが、変わり身の早い小池百合子都知事だ。小池都知事は国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が提案してきたバッハ会長と大会組織委新会長、橋本聖子五輪担当相と都知事との4者協議には参加しないと表明した(https://mainichi.jp/articles/20210210/k00/00m/050/236000c)。「女性蔑視発言」は表向きの理由で、三角関係にまつわる森氏との悪因縁があったようだ。

下手すれば、東京オリンピック/パラリンピックは中止になるということで、「小池氏の動きに、政府や自民党、組織委関係者には動揺」が走ったとあるが、やはりオリ/パラの開催は理念的、実務的に不可能で、それを見越した発言だと思われる。英国の有力紙「タイムズ」は自民党の幹部(兼閣僚)に取材し、政府=菅政権、東京都の中核ではオリンピック中止は既定路線になっていると報道して、政府や小池都知事は「激しく反発した」が、「さる芝居」だったようだ。

さて、タイムズ紙の取材に応じたのは、上記記事でも述べたように英語が堪能な閣僚である。それなら、自民党の重鎮だった河野一郎、自社さ政権時代に自民党総裁を務めた河野洋平を父にもつ世襲政治家としてはサラブレッドの政治家である河野行革・新型ワクチン担当相だ。Wikipediaによると、河野氏の略歴は次のようである。

1981年(昭和56年)4月に慶應義塾大学経済学部経済学科に入学するも2カ月で退学。その後渡米。渡米後すぐにマサチューセッツ州アンドーバーでサマースクールに通った。その後、コネチカット州のボーディングスクール、サフィールドアカデミー(Suffield Academy)で1年間過ごし、1982年9月にワシントンD.C.のジョージタウン大学に入学、比較政治学を専攻。1984年にジョージタウン大学を休学し、ポーランド中央計画統計大学(現在のワルシャワ経済大学)に交換留学。 1985年(昭和60年)1月にジョージタウン大学に復学。1985年12月にジョージタウン大学卒業。

これなら、英語を日本語のように操れるはずだ。河野行革担当・新型ワクチン担当相は当初、国際的にも常識になっている反原発論者だったが、安倍首相から将来性を買われ、反原発を封印するなら閣僚に抜擢すると約束されて、反原発を封印し、閣僚になった。ただし、米国での留学生活から「ガラパゴス島」日本がいかに立ち後れているか周知のはずだし、小室直樹や山本七平が教義を明らかにした「日本教」の信者でもないはずだ。一応、麻生太郎副総理兼財務相の麻生派に属するが、昨夏の自民党総裁線で派閥の安倍・麻生派が半愚連隊の菅・二階グループに負けたことから、総裁選への出馬は断念したが、自民党若手から待望されている。

さて、菅首相はコロナ禍対策で実績を立て、首相続投を狙っているようだ。国民が望んでいない東京オリンピック/パラリンピックは、安倍前首相が「Fusushima is under control」と言って大嘘をつき、日本オリンピック委員会(IOC)前会長の竹田恆和氏(明治天皇直系)が賄賂を使って東京に誘致した疑いが濃厚(フランスが捜査中)であることから、安倍前首相に全責任を押し付ける。その一方で、「積極的疫学調査」(濃厚接触者の追跡調査)をコロナ禍対策の基本に置いてきたことを軌道修正する。具体的には、次のようなものだ。

  1. このところ、新規感染者が急減しているように見えることを自分の手柄(緊急事態宣言の発令と延長の効果)として、大手メディア工作を行う。
  2. 「検査利権ムラ」の中核をなす厚生労働省の医系技官(臨床医としての経験はなく、米英の科学論文雑誌にも投稿しないだけでなく、読むこともない)が主導してきた「積極的疫学調査」と言う名のPCR検査抑制体制を徐々に改める。
  3. 具体的には、国際的な常識、世界の大潮流からすれば異常な新型コロナ感染症対策を行ってきたことを徐々に軌道修正し、新型コロナ感染拡大の最大の原因になっているステルス・スプレッダー(無自覚感染拡大者)の無症状感染者を早期に発見するためのPCR検査に力を入れる。
  4. 新型ワクチン接種体制を整え、ワクチン接種に努める。

菅首相が、これまで支離滅裂、後手後手、小出しと非難されてきたことを改めようとしているのは、政府のコロナ感染症対策部会の座長である尾身茂独立行政法人地域医療機能推進機構理事長の2月4日の衆院予算委員会の答弁でも分かる。この答弁は、立憲民主党の枝野幸男代表が、「積極的疫学調査」の破綻を追及し、代案としてPCR検査の抜本的拡充という意味での「ノーコロナ」対策を打ち出したことに呼応するものだった。なお、日本共産党の志位和夫委員長も同じ考えを記者会見で繰り返している。

立憲民主党の枝野幸男代表のノーコロナ政策
立憲民主党の枝野幸男代表のノーコロナ政策
尾身茂分科会会長の答弁
尾身茂分科会会長の答弁

つまり、政府感染症対策分科会の尾身茂座長の答弁は、新型コロナ感染拡大の最大の原因になっているステルス・スプレッダー(無自覚感染拡大者)の無症状感染者を早期に発見するために、PCR検査体制の拡充に力を入れることを表明する内容だった。2月中旬ころから新型コロナの新規感染者数が急激に低下してきた。これは、アップル社が公開している人の移動指数が昨年1月末をピークに下がっていることと、新型コロナも風邪コロナの一種であり、基本的には冬場に最活性期を迎え、立春以降には活性力が衰えるから、人為的に新規感染者が減少するというものではない。要するに、緊急事態宣言の効果があったというエビデンスはないのだ。

横道にそれるが、感染症対策の世界標準対策に熟知し、厚労省の医系技官を中心とした「検査利権ムラ」にも非常に詳しいNPO法人の医療ガバナンス研究所の上昌広理事長・臨床医師によると、尾身座長は旧日本帝国陸軍病院が前進である国立感染研究所の感染症情報センターを務めた岡部信彦川崎市研究安全研究所兆と(政府に近い東北大の)押谷仁東北大学大学院医学系研究科教授に、「(専門知識に乏しいので)コロッとやられてしまう(PCR検査の拡大は必要ないなどのこと)」(「日本のコロナ対策はなぜ迷走するのか」97頁)。立憲は一度、上氏を参考人として政府の感染症対策本部分科会の責任を追及してもらったらいかがか。

話を元に戻すと、ただし、「夏風邪」という言葉に象徴されるように冬場ほどではないが、ステルス・スプレッダーを発見・保護・治療しておかなければ、夏にも相当に流行する。これは、上氏が指摘している内容だ。同じく感染震源地(エピセンターでの)網羅的な社会検査の必要性を指摘しておられる東大先端研所属で遺伝子工学に詳しい児玉龍彦東大名誉教授などの非政府系専門家と同じ見識だ。これらの見識ある専門家の指摘・提言を、第三波での猛烈な感染拡大、重症者・死亡者急増、医療体制の崩壊に驚いた政府の分科会(専門家会議から再編成された)もさすがに、認めざるを得なかったと言える。

ただし、分科会は「検査利権ムラ」の利益に叶う「積極的疫学調査」の失敗・破綻は認めていない。こそこそとコロナ対策の転換を行おうとしている。このコロナ対策の転換は、政府対策本部の西村康稔厚生労働大臣が2月10日、「感染の再拡大を防ぐためモニタリング検査を拡充します」と発表したことに象徴的に示されている(https://corona.go.jp/minister/20210210_01.html)。

昨日(2月4日)、改正された特措法の施行に必要な政令の閣議決定を行いました。この政令では、まん延防止等重点措置を実施すべき事態の要件や、まん延防止のために必要な措置などについて規定しています。2月13日から施行されますので、分かりやすい周知に努め円滑に施行できるよう対応していきます。

また、感染拡大の予兆を検知するためのモニタリング検査を拡充して行うため、予備費から約80億円を追加的に措置することも、昨日の閣議で決定しました。歓楽街など感染リスクの高い複数地点で、1日1万件程度の検査を行い、SNSのデータ、民間検査機関のデータなどと併せて解析し、感染拡大のきざしをいち早く探知し感染の再拡大を防ぐ取組を行います。近日中に、検査キットの確保や検査の実施にご協力いただける民間検査機関の募集を開始しますので、参画のご検討をお願いします。詳しくは内閣官房コロナ特設サイトをご覧いただければと存じます。

政府=菅政権がコロナ対策を徐々に転換しつつあることは、日本共産党がしんぶん赤旗で次のように報道している(https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2021-02-08/2021020802_02_1.html)。

4日の衆院予算委員会に参考人として出席した分科会の尾身茂会長は、「検査の文脈でいうと(宣言を)解除した後の都道府県で最も大事なこと」として「感染のリスクの高いところを中心に、無症状者に焦点を合わせた検査をやることによってリバウンド(再拡大)を防ぐ」ことだと述べました。尾身氏は続けて「リバウンドを防ぐためには、感染源を早く予兆(する)、隠れたものを早く予兆すると同時に、それによって感染の経緯がしっかりとモニターできる」と発言しました。

7日のNHK「日曜討論」では、分科会メンバーで日本感染症学会理事長の舘田一博東邦大学教授は、「緊急事態宣言を解除するタイミングは非常に大事で、そのあとにどうリバウンドを起こさない対策を維持していくかが大事」と指摘。「今は市中に感染症がまん延している状況の中で、どうしても守りの対策、守りの検査を余儀なくされているが、宣言が解除されるときは市中感染が減って、急所あるいは急所の急所の部分が残っている状況になっていますから、その部分に対し、いかに効果的な対策、検査を集中していくかが大事になる」と述べました。

尾身、舘田両氏の発言は、宣言解除後、感染再拡大へ「リバウンド」しないようにするため最も重要なことは、「無症状感染者」に焦点を当てた検査でその発見・保護につなげることだとしたもので注目されます。舘田氏は感染集積地を見定め、集中検査を実施する方向を提起しました。

政府=菅政権も2月13日、これまでのコロナ対策に変化球を投げてきた(https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/sidai_r030212.pdf、入り口はこちらhttps://corona.go.jp/expert-meeting/

政府コロナ対策の変更
政府コロナ対策の変更

政府=菅政権は、ステルス・スプレッダーを見つけることに注力しており、改正インフル(新型コロナ)特措法に盛り込まれた「まん延防止措置」を最大限活用するだろう。ただし、➀立憲や日本共産党の主張するような新型コロナの感染集積地(エピセンター)を特定して大規模な社会的な検査を行うまでには至っていない②検査の前提としての国民の生命や生業(なりあい)を維持するための財政支援措置が全く欠落しているーことが問題である。

それはさておき、観光業界の続議員のドンである二階俊博自民幹事長(全国旅行業界会長)と環境業界の政官業の癒着は深く、文春報道によると二階幹事長はじめ旅行業族議員はGo To トラベルで関連業界から4200万円の献金を受け取っているという(https://bunshun.jp/articles/-/39127)。二階幹事長が後ろ盾であることから、菅首相は緊急事態宣を解除した後、Go To トラベルを再開しながら、コロナ対策を転換し、ステルススプレッダーの発見に努め、感染の再拡大(リバウンド)を防ごうとするだろう。これは中途半端な対策でしかないが、国民が望まない東京オリンピック/パラリンピック中止を発表して、コロナ感染症対策に全力を挙げて取り組んでいる姿勢を大手メディアを中心にしてアピールするだろう。

ところがそこに、菅首相の長男の総務省大幹部への接待疑惑がこれまた文春によってスクープされた。複数の高級官僚とともに現剤、内閣広報官を務めているが、2018年当時、情報流通行政局長だった山田真貴子内閣広報官の接待疑惑が浮上してきた(https://www.tokyo-np.co.jp/article/85548)。

総務省は12日の衆院予算委員会で、同省幹部4人が放送事業会社に勤める菅義偉首相の長男と延べ12回にわたって会食し、直近の会食ではタクシー券や手土産を受け取ったことを明らかにした。国家公務員倫理規程に違反し処分対象となる可能性がある。原邦彰官房長が立憲民主党の森山浩行氏の質問に答えた。(中略)

菅首相の長男から接待を受けた総務省の高級官僚
菅首相の長男から接待を受けた総務省の高級官僚

立民の後藤祐一氏は、首相長男の勤務先の関連会社が衛星放送の認定を受けた2018年当時、情報流通行政局長だった山田真貴子内閣広報官が長男と会食したか調査するよう求めた。武田良太総務相は「多くの疑念を招きおわび申し上げる。正確な事実が確認できたものから(国会に)提出する」と語った。

菅首相も二階幹事長と同様、「政官業癒着」体質の権化である。国家公務員倫理規定に違反することは明らかで、警察畑の杉田和博内閣官房副長官を使って接待疑惑のもみ消しを図るだろうが、内閣支持率が下落しているように、国民の目は厳しい。たとえ、オリンピック中止の「英断」を含むコロナ感染症対策に力を入れているふりをし。5月解散・6月総選挙を断行しても、菅首相(総裁)が自民党の「顔」では、自民党が劣勢に陥ることは明らかだろう。4月25日の北海道2区、長野衆院選挙区、大規模買収を演じた広島選挙区(事件には内閣官房機密費も絡んでいる可能性が濃厚だ)での結果に、若手議員は動揺するだろう。

東京オリンピック/パラリンピックで暗躍している電通の大株主でもある時事通信社が4日から6日にかけて行った世論調査では、次のようになっている(https://www.jiji.com/jc/article?k=2021021200828&g=pol)。

時事通信が4~7日に実施した2月の世論調査で、菅内閣の支持率は前月比0.6ポイント増の34.8%、不支持率は3.1ポイント増の42.8%だった。不支持は初めて4割を超え、2カ月連続で支持を上回った。

医療従事者向けを手始めに、17日にも始まる新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐっては、「期待する」が82.9%で、「期待しない」の8.1%を大きく上回った。政府の新型コロナ対応は、「評価する」が27.8%と前回より9.3ポイント上昇。緊急事態宣言の再発令に伴い、新規感染者数が減少に転じたことなどが、ある程度評価されたとみられる。「評価しない」は51.2%だった(以下略)。

新規感染者数の減少でコロナ対策を評価する割合は上昇、新型ワクチンに対する期待も高まっているが、これは政府=菅政権の意図通りだろう。しかし、内閣不支持率は2カ月連続で支持率を上回っている。

そこで、自民党の若手議員が擁立を図ってきているのが、安倍・麻生VS菅・二階の内部闘争で前者が破れたため、総裁選出馬を断念した河野行革・コロナ担当大臣だ。若手議員が、日本教徒でない河野氏に期待するところは大きい。菅総裁を引きずり下ろすための工作を活発化する公算は大きい。

そういう流れの中に割って入ってきたのが、小池都知事だ。東京オリンピック/パラリンピック中止は中枢では合意済みだし、米国のバイデン大統領が求めたような「安全に開催できる科学的証拠が示されなければならない」との忠告に「科学的事実をもって答えること」も不可能だ。1月31日に投開票が行われた東京・千代田区の区長選挙は無所属の新人で「都民ファーストの会」が推薦する元東京都議会議員の樋口高顕氏が初当選したが、樋口新区長はよく言えば小池都知事の「愛弟子」、普通に言えば「子飼い」だ。東京オリンピック中止の「責任」を取って辞任するという形で都知事の椅子を放り投げ、東京1区(千代田区中心)から出馬すれば、海江田氏は選挙基盤が弱いから、「女帝」に騙されてきた東京都民が小池氏を当選させる可能性は大いにある。

そうすれば、新進党が分裂した際に保守新党を立ち上げ、二階氏と歩みをともにした小池氏が二階氏の後ろ盾で総裁・首相の座を目指す最後のチャンスになり得る。ただし、ノン・フィクション作家の石井妙子氏が執筆した「女帝・小池百合子」に記されているように、小池氏がエジプトの軍事政権が支配するカイロ大学を「首席で卒業した」などのことは真っ赤な嘘である可能性は極めて濃厚だ。仮に首相になったとしても、野党側は学歴詐称疑惑を徹底的に追及するだろう。学歴詐称が明らかになれば、公職選挙法違反で即刻辞任だ。また、小池氏は権力指向が強く、日本の将来に対するビジョンはない。コロナ第三波の際に、税金の無駄遣いを行って「コロナかるた」遊びに熱中したことには、都民の強い批判を浴びている。

こう見てみると、5月解散、6月総選挙には無理が出てくる。佐藤氏はまた、ステルススプレッダーが緊急事態宣言後も影を潜め、夏場には第四派が襲ってくる公算が大きいこともあり、そもそも総選挙は不可能ではないかとも見ている。その可能性は大いにあり得るが、いずれにしても秋までに解散・総選挙は必ずある。野党陣営としては強力な政策体系とシャドウキャビネット(影の内閣)を国民の前に明らかにしなければならない。

キーマンはやはり佐藤氏も指摘するように、二度の政権交代を果たした立憲の小沢一郎衆院議員だろう。小沢氏は「政官業」癒着ではなく、政策本位で政治を見ることのできる数少ない政治家の代表人物だ。立憲の枝野幸男代表は過去のわだかまりを捨て、小沢氏に活躍してもらわなければならない。小沢氏なら、立憲と相性が良くない山本太郎率いるれいわ新選組との共闘もできるはずだ。

米国ではトランプ氏が上院での弾劾裁判で勝訴した。共和党が伝統的な共和党とトランプ党に分裂するとの見方も出ているが、根本にはディープステート(軍産複合体と多国籍金融資本、東部エスタブリッシュメント)による米国の大格差社会化に対して、トランプ支持者を始め米国民の怒りが高まっていることがある。ディープステートの傘下にあるバイデン大統領が、米国の大格差社会、分断を解消できるかとと問えば、まず、不可能だろう。時代は800年周期で起きる文明論の大転換期に突入している。


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