「地殻変動期入り」が本格的になってきた国際情勢

新型コロナウイルスが活発化する冬入り前に全国にGo To トラベル/イートを強行し、東京をはじめ全国をコロナ感染爆発にした菅義偉首相の責任は重い。既に自民党の内部では、菅首相が「顔」では総選挙を戦えないとの不安・不満が広まっている。一方、米国では大統領選挙の結果を確定するための上下両院の合同会議を開催中にトランプ現職大統領支持者達が連邦議会に乱入、占領し、治安当局によって排除される中でトランプ支持者のうち射殺された女性1人を含む4人が死亡。米国の分断が本格的に始まった。世界は「地殻変動期」入が本格化した。

01月09日月曜日コロナ感染状況

本日1月10日日曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では新規感染確認者は1週間前の1月3日日曜日の816人を678人上回る日曜日初の1000人台の1494人に増加、死亡者は3人、重症者は前日から1人減少して128人になった(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)。PCR検査人数の減少が原因と思われる。
東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は1764.9人、PCR検査人数は9653.1人だから、瞬間陽性率は18.28%。東京都独自の計算方式でも14.9%。感染者のうち感染経路不明率は67.18%だった。
全国では、午後23時59分時点で新規感染者数は6081人、死亡者は45人、重症者は前日より25人増加して852人。累計死亡者数は4080人(クルーズ船含む)。
【参考】東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、1月8日時点の実効再生産数は全国が前日比0.14人増の1.47人、東京都は前日比0.17人増の1.62人となっている。簡易計算だが実効再生産数がかなり上昇しており、感染拡大が急増しそうな気配だ。

冬入り前にGo To トラベル/イートがコロナの無症状感染者を全国に拡散させ、早くから予想されていた第三波の襲来をもたらしたことは間違いない。震源地(エピセンター)の東京都では連日、新規感染者が2000人を超え、全国では7000人台に達し8000人突破を目前にしている(本日日曜日、明日月曜日はPCR検査の関係から少なくなる)。累計で死亡者は20日間で1000人を突破し、4000人を超えた。このため、政府=菅政権は「飲食店」の営業活動制限を中心にした緊急事態宣言を再発令したが、効果は限定的だ。

2月7日までの期間としているが、感染拡大のおおもとは無症状感染者であり、その移動だ。大規模なPCR検査を行い、陽性判明者は保護・隔離・適切な医療機関での抗ウイルス薬(高齢者にはアビガンなど)を使った治療が必要だ。感染爆発段階入りしているが、「大噴火」を止めるためには思い切って都市封鎖と十分な補償を行わなければならない。状況は昨年春の第一次緊急事態宣言より悪化しているのだから当然だ。なお、罰則は基本的人権破壊に拡大する。罰則よりも補償だ。

しかし、今回は対策が極めて限定的で、補償も1店舗のみ月180万円だ。これでは、一定の規模の飲食店では焼け石に水だ。さらに、飲食店への食品の納入業者への補償はない。菅首相の頭の中には、経済活動が相互に関連性を持っていることの理解がない。むしろ、補償を限定し、その「代わり」に事実上の罰則規定を設けることで、一定の規模の飲食店を含む中小企業や零細企業を倒産に追い込み、大量の雇い止め解雇を画策していると考えるのが当然だ。


 

上記のことは、異論を唱えれば冷遇される自民党の国会議員(特に衆院議員)でさえ、容易に分かることだ。これに加えて、議員辞職した吉川貴盛元農水相、内閣官房参与を昨年12月突然辞職した西川公也(こうや)元農水相(78)と鶏卵大手との「贈収賄疑獄」も東京地検特捜部が本格的に捜査を開始している。広島県の河井克行元法相・河井案里参院議員(連座制で失職の可能性が極めて濃厚)の買収事案もあり、全貌が不明だ。吉川元農水相や河井元法相は半グレ首相である菅首相の側近だ。

週刊現代1月9・16日合併号によると、卵疑惑は菅首相のもうひとりの側近である自民党の森山裕国対委員長にも飛び火しているという。

こうしたことから、「自民党の下村博文政調会長は5日のBS番組で、4月25日に投開票が予定される衆院北海道2区と参院長野選挙区の補選について、『自民党が両方負けるとなったら政局になる』と語った」(https://digital.asahi.com/articles/DA3S14754932.html?iref=pc_ss_date_article)。

これに加えて、菅首相が政権浮揚の切り札としている東京オリンピックの開催に関して、「日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(63)が、緊急事態宣言の発令が決まった7日、『大変厳しい状況。我々スポーツ界だけではなく、経済などいろんなところが大変だと思う』」とホンネのところをもらした(https://www.nikkansports.com/olympic/tokyo2020/news/202101070000462.html)。

新型コロナの感染状況は、英国で変異した感染力が強い英国型が、政府=菅政権の水際対策が菅首相にゆるめられたこともあって、日本での市中感染が次第に広まって行く可能性もあり、聖火リレーが開始される3月24日までに感染拡大が一応落ち着くか、全く見通せない。むしろ、感染状況はさらに悪化するだろう。

こうした状況を考えると、菅政権は持たない。「仁義」のカケラもないことが判明した半グレの菅グループに対抗して、「堅気の衆には迷惑をかけねえ」程度のヤクザの論理を持っている自民党の派閥(政治評論家の佐高信氏による)の巻き返しが開始されるのは当然だ。

自民党内では次の総裁の擁立に取り掛かっているが、再登板あるいはキングメーカーを狙う安倍晋三前首相は昨年で決着するつもりだった「桜を見る会」前夜祭事案で、野党からの請求明細書、領収書提出には逃げ回っているため、通常国会では野党から「証人喚問」を要求され続ける。そこで、宏池会の岸田文雄、河野太郎行革担当相の名前が上がっている。

しかし、岸田氏は政策発信力が弱く、力強さにかける。河野行革担当相は麻生派だが派閥内の人望はなく、何よりも後ろ盾は菅首相だ。しかも、防衛相の時のイージス・アショア計画中止し、イージス艦事案で暗礁に乗り上げている。また、「敵基地攻撃能力」の自民党内での火欠け役になったが、これは日本に対中中長距離地上発射ミサイル基地を建設し、中国に脅威を与えるというものだ。しかし、半田滋氏などの軍事専門家、東アジア共同体研究所(鳩山由紀夫理事長)の論文によると中国は極めて精度の高い 、高性能の中長距離発射ミサイルを多数保有している。日本の米軍基地・航空自衛隊基地の方が先に甚大な被害を受けることになる。「ヤブから蛇だ」。

このため、抜本的なイメージチェンジのため、「野田聖子宰相論」が飛び出している。野田衆院議員は母方の祖父で、大蔵事務次官、参議院議員、衆議院議員、経済企画庁長官、建設大臣などを歴任した大物政治家の野田卯一の養子となり1987年、岐阜県議会議員選挙に自由民主党公認で立候補し、史上最年少の26歳で当選した。その後、岐阜県議会議員(1期)を経て国会議員になり、郵政大臣(第64代)、内閣府特命担当大臣(消費者、食品安全、科学技術政策)、総務大臣(第20・21代)、内閣府特命担当大臣(男女共同参画・マイナンバー制度)、自由民主党総務会長(第52代)、衆議院災害対策特別委員長、衆議院予算委員長、自民党党・政治制度改革実行本部長などを歴任している。

野田衆院議員は出産を強く望み結局、体外受精で出産したが、障害児であることが分かり、障害者対策に力を入れている。「女性総理」のサプライズで自民党の危機を乗り越えることができるとして、党内に総裁への擁立を求める動きがある。しかし、国家論、政策立案能力は未知数だ。

最終的には、菅首相に近く、同じ半グレの二階俊博幹事長が決めるということになるだろうが、81歳と極めて高齢。また、親中派の頭目であり、米国のディープステート(軍産複合体と米系多国籍企業の連合軍、東部エスタブリッシュメント、ウォール・ストリートとも呼ばれる)からは「媚中派」とされ、米国からの受けが悪い。二階幹事長は最終的には幹事長の座を奪われるだろう。

要するに、自民党内部は混沌としているのだ。総選挙区の定数は、公職選挙法第4条1項「衆議院議員の定数は、四百六十五人とし、そのうち、二百八十九人を小選挙区選出議員、百七十六人を比例代表選出議員とする」の通りだが、週刊現代1月9・16日合併号によると、次期総選挙での自民党の獲得議席数は280議席と予測する選挙アナリストもいるが、大体は230〜240議席だ。これでは、衆議院の議院運営は非常に困難になる。

ただし、強力な野党共闘体制が構築されれば、政権交代ももちろん有り得る。それには、立憲民主党の執行部の要(かなめ)である枝野幸男代表ー福山哲郎幹事長ー安住淳国対委員長が政権交代の気構え(真剣勝負の心構え)を国民に示さなければならない。山口二郎法政大学法学部教授が指摘しているが、野党共闘体制を構築し、シャドウ・キャビネット、ネクスト・キャビネットを「組閣」し、影の担当大臣がコロナ禍対策、産業構造転換策、財政・金融政策を中心とする経済再建策、外交政策を国民に対して分かりやすく提示することが必要だ。

ただし、山口氏によると、枝野代表は今なお、腰が引けているようだ(https://www.youtube.com/watch?v=7FFMks5fW1s)。なお、サイト管理者(筆者)の見るところによると、整合的な政策体系を持っているのは山本太郎代表率いるれいわ新選組、政府に対して建設的な提言・申し入れを行っているのは日本共産党だから両党は必ず野党共闘体制に参画してもらわなければならない。小選挙区で勝利するためだ。

神津里季生会長率いる日本労働組合総連合会(連合)は共産党排除の論理に基づく発言を繰り返しているが、連合は野党分断のために米国のディープステートが無理やり旧総評系と旧同盟系を組み合わせた、自公連立政権の政策を支持する御用組合に過ぎない。神津里季生会長率いる連合の影響は排除しなければならない。

さて、次は米国の情勢。米国では現地時間6日午後、大統領選挙の結果を確定するための上下両院の合同会議を開催中にトランプ現職大統領支持者が連邦議会に乱入、占領し、治安当局によって排除される中でトランプ支持者のうち射殺された女性1人を含む4人が死亡するという異常な出来事が起こった。民主主義を破壊する暴挙とも言えるが、共和党内にも反トランプ派が増えているとされてはいるものの、トランプ現職大統領が大統領選挙で共和党候補としては最多の7100万票を獲得したのは事実。

米国ではツイッター社やFacebook社がトランプ大統領のアカウントを削除しているが、トランプ支持者が依然として多いことは事実だ。また、バイデン次期大統領がディープステートの支援=支配を受けていることも確かだ(https://www.youtube.com/watch?v=7FFMks5fW1sの最後の部分でのジャーナリスト横田一氏の発言参考)。同次期大統領が、民主党のバーニー・サンダース上院議員やエリザベス・ウォーレン上院議員など党内リベラル派を排除している。

これでは、民主党の団結を確保することは難しい。米国民の間には、「ウォールストリート」(ディープステートの別名)に対する不満はいよいよ強まっている。ディープステートの傘下にあるメディアも信用しなくなっている。バイデン次期大統領は、ジョージア州の上院議員選挙で2議席を確保し、「トリプル・ブルー」を実現したが、コロナ禍を収束させられるかはまだ見通せない。加えて、金融市場はコロナ禍の中でバブルが発生している。難しい舵取りを迫られることは確実だ。

なお、バイデン次期政権は対中強硬外交を展開し、米国一辺倒=対米隷属の日本の外交も極めて困難になる。

米中国内総生産の推移
米中国内総生産の推移

中国は一国二制度を破り、香港の民主派を一挙に逮捕した。世界に対する公約違反である。ただし、中国の経済力・軍事力は侮れない。日本も米国の言うがままの外交政策を展開すれば、経済的には極めて苦しくなる。世界の地殻変動はバイデン政権の誕生とともに本格化する。日本はコロナ禍の解決とともに、真の独立を獲得しし、「平和主義国家」として世界に貢献できる新たな道を歩まなければならない。



この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう