オクミロン株市中感染拡大の大きな要因、PCR検査ではなく抗原検査を未だに使用していること(コロナ感染状況追記)

日本国内でもオミクロン株の市中感染が広がり始めたが、その原因のひとつとして空港検疫で未だに抗原検査を使っていることにある。

オミクロン株感染者を見逃してしまうざるの「水際対策」

大阪府、京都府、それに東京都など新型頃ウイルスの変異株「オミクロン株」の市中感染が日本でも伝えられるようになったが、その原因のひとつに空港検疫で未だに感度(精度)が劣り、3人感染者ののうち1人か2人は見逃すという抗原検査を行っていることがある。国立感染研究所はPCR検査で特別の試薬を使えばオミクロン株に感染していることがほぼ分かる(最終的な確定にはウイルスのゲノム解析が必要)との見解をまとめ、厚生労働省が地方自治体に通達しているはずだが、政府は無関心、厚労省も徹底化する気がないようだ。

国立感染研の発表は11月28日に「SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)について(第2報)」と題するサイトの文書で公開されている(https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2551-cepr/10792-cepr-b11529-2.html)。

 

  •   診断への影響
    •   国立感染症研究所の病原体検出マニュアルに記載のPCR検査法のプライマー部分に変異は無く、検出感度の低下はないと想定される。
    •   オミクロン株は国内で現在使用されるSARS-CoV-2PCR診断キットでは検出可能と考えられる。
    •   Thermo Fisher社TaqPathにおいて採用されているプライマーにおいて、ORF1, N, S遺伝子のPCRでS遺伝子が検出されない(S gene target failure; SGTFと呼ばれる)特徴をもつ。一方で、これまで多くの国で流行の主体となっているデルタ株ではS遺伝子が検出されることから、この特徴を利用し、オミクロン株の代理マーカーとして、SGTFが利用できる(WHO: Classification of Omicron (B.1.1.529) )。SGTFはアルファ株でもみられ、代理マーカーとして使用された。
    •   抗原定性検査キットについては、ヌクレオカプシドタンパク質の変異の分析で診断の影響はないとされるが、南アフリカ政府において検証作業が進められている。(NCID: Frequently asked questions for the B.1.1.529 mitated SARS-CoV-2 lineage in South Africa)

これに関して厚生労働省は次のような通達を出している(https://www.mhlw.go.jp/content/000871244.pdf、12月22日一部改正)

1. 変異株 PCR 検査について
B.1.1.529 系統(オミクロン株)の変異株 PCR 検査については、当面の間、L452R変異株 PCR 検査で陰性を確認することにより、B.1.1.529 系統(オミクロン株)の可能性のある検体を検出することといたします。自治体において迅速に変異株 PCR 検査を再開いただくようお願いいたします。なお、B.1.1.529 系統(オミクロン株)である可能性を検出するための変異株 PCR 検査の手法については、引き続き、国立感染症研究所にて手法の確立に取り組んでいるため、他の変異株 PCR 検査の手法が確立された場合には、変異株 PCR 検査の手法を変更することがありますので、L452R 変異株 (デルタ株)PCR 検査の試薬等については、必要分のみ確保いただくようお願いします。

国立感染研は東大医科学研究所のヒトゲノム解析センターから新型コロナウイルスの遺伝子解析についての協力の申し出を断るなど「感染症利権ムラ」を守ることにきゅうきゅうとしているようだが、オミクロン株検出のPCR検査手法の連絡についてももたもたしている感は否めない(参考:Youtube動画「一月万冊」のチャンネル・https://www.youtube.com/watch?v=yznUZDE7oMY&t=1235s)。

しかし要するに、地方自治体の保健所や衛生研究所、民間調査機関打ではなく空港検疫でもサーモフィッシャー製の試薬を使ってPCR検査を行えば、オミクロン株に感染していることがほぼ分かり、隔離施設への隔離・保護・治療等がすぐに行える。感染症対策の基本中の基本だ。ところが、厚生労働省は未だに抗原検査を続けている。これでは、市中感染の時期をできるだけ延ばし、国内でオミクロン対策を徹底化するための正しい、精密な水際対策が必要にはならない。

これを行わないから、日本国内では実際のところは伝えられる報道よりもさらに多くのオミクロン株への市中感染が広まりつつある公算が大きい。季節要因から、2020年秋から21年冬にかけては夏の感染者の5倍の新規感染者が発生した。今年の夏は最大2万5000人だったから、13万人規模の新規感染者が発生する可能性も考慮に入れておく必要がある。この新規感染者が実現するとなると現在の医療体制では明らかに医療崩壊が起こる。オミクロン株への感染→「自宅治療」=補償なき「自宅放置=遺棄」が再び起こる。

 

岸田首相が公務を行う首相官邸
岸田首相が公務を行う首相官邸

 

また、新型コロナウイルスの感染は空気中に感染者の肺から空気中に放出されたエアロゾルによる感染=空気感染が主流であり、マスコミが未だに使っている「濃厚接触者」という言葉自体が意味を持たない。自宅放置=遺棄されれば家族全員がオミクロン株に感染する可能性が極めて高い。医療体制を抜本的に増強する必要があるが、岸田文雄政権は守るべき主権者国民の生命と健康を守ることに失敗すれば、政権が崩壊する。安倍晋三元首相ー高市早苗政調会長が虎視眈々とねらっている。

政府の言いなりになり、米国のディープステート(闇の帝国:軍産複合体と多国籍金融資本・企業)の日本工作部隊になっている六産別主導の日本労働組合総連合会(連合)の支配下に入った泉健太代表率いる立憲民主党内の真性リベラル派・反泉代表派は同党を離党して、日本共産党・れいわ新選組・社民党と、➀コロナ対策の抜本転換②共生の経済政策(反緊縮の積極財政)③憲法改悪反対(三権分立制度を徹底的に破壊する緊急事態条項を盛り込み、議会制民主主義制度を破壊する=国会を破壊することに主眼がある)ーで強力な真性野党共闘体制を構築すべき秋(とき)に入った。

東京都の感染状況と全国・東京の実効再生産指数

2021年12月24日金曜日(クリスマスイブ)を含む日本のエピセンターである東京都の12月の新規感染状況の推移は下図です。前週との差の項目で背景色が朱色の項目は前週比増になっていることを示す。7日移動平均での新規患者数はまだ二桁台だが、前週末比は40〜50%増になっている。都内では24日、オミクロン株の市中感染(都内クリニックの医師、最初は抗原検査。後にPCR検査でオミクロン株感染の疑いが生じ、最終的にゲノム解析で確定。患者さんによる感染の疑いがある)が発表された(https://www.tokyo-np.co.jp/article/150857)。新型コロナウイルス変異株の重症化力の程度は変異するにつれて弱くなるとの見方もあるが、デルタ株は感染力、重症化力ともに強かった。予断はできない。十分な警戒態勢を敷いておくことが肝要だ。

東京都の12月の新規コロナ感染状況
東京都の12月の新規コロナ感染状況

東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)で発表されている全国・東京都の新型コロナウイルスの実効再生産数は、12月23日木曜日の段階で次の通り。全国では前日比0.04ポイント高の1.29、東京は同0.05ポイント減の1.27。全国では基調的に上昇ペース、東京都では変動が激しいが傾向的に上昇基調。ただし、いずれも1.2ポイントを上回っている。新規感染者数は実効再生産数のべき乗で増加することに注意が必要。


新型コロナ禍による供給ショック・インフレへの対処が必要

新型コロナ禍(現在は少なくとも感染力が極めて強いオミクロン株)によって世界の製品・部品供給網=サプライ・チェーン=が寸断され、供給ショック・インフレーション(コストプッシュ・インフレーション)が世界的に広がっている。この供給ショック・インフレーションへの対応が必要だ。日本では国内では需要不足が少なくとも25年間続いており、財政・金融政策面で思い切った対応をしなければ、スタグフレーション(不況下の物価高)の直撃を受ける。


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